NPO新時代を迎えているなかで、『Forbes JAPAN』では今回、非営利セクター・NPO業界に詳しい15人のアドバイザリーボードの協力を得て、今注目のNPO50団体を選出した。1.「政府や市場が取りこぼしてしまう課題に向き合っている」2. 「マルチセクターでの協働をリード」、3. 「社会参加の後押し、ソーシャルキャピタルづくり」の3つのテーマについて、社会的影響力、社会的インパクト、重要性、期待度、革新性といった観点から、推薦をしてもらい、最終的に編集部で選出した。
米『Forbes』、『Forbes JAPAN』では、コロナ禍以降、インクルーシブ・キャピタリズム(包摂的な資本主義)という概念を提唱してきた。すべての人を包摂しながら発展する資本主義の新しいあり方を意味する言葉だ。今回の「今注目の NPO50」も同概念に関する新企画シリーズとして2024年から開始した企画である。
アクセプト・インターナショナル|代表理事・永井陽右
団体概要|「誰しもが平和の担い手となり、共に憎しみの連鎖をほどいていく」ことを目指し活動する紛争解決・平和構築に特化した日本生まれのNGO。ソマリアやイエメンといった紛争地での取り組みに加え、テロや武力紛争に関わる若者への国際規範の制定に向けても国際的に動いている。ながい・ようすけ◎テロ・紛争解決、人道的交渉、平和構築が専門の実務者で、国連機関のアドバイザー、オックスフォード大学客員フェローなども務める。
ADDS|共同代表・熊 仁美、竹内弓乃
団体概要|発達障害やその傾向のある子どもとご家族にエビデンスに基づく支援を届けるため、親子向け発達支援プログラム開発・提供、全国の支援機関への実装活動を行う。国立研究開発法人科学技術振興機構社会技術研究開発事業(JST-RISTEX)助成を受けて研究プロジェクトも推進。くま・ひとみ、たけうち・ゆの◎2006年、学生団体「慶應発達障害支援会」設立。09年任意団体ADDSを設立。11年に特定非営利法人となり、共同代表に。
キープ・ママ・スマイリング|理事長・光原ゆき
団体概要|入院する子どもに付き添って親が寝泊まりする「付き添い入院」の環境は過酷で、約半数が体を壊すのが実態。支援物資を詰めた「応援パック」やお弁当を無償配付し、累計1万5000人を支援。環境改善のため実態調査を実施し国に提言。2024年の診療報酬改定につながった。みつはら・ゆき◎1996年一橋大学卒業後、リクルートへ入社。人事、ダイバーシティ推進業務等に従事。先天性疾患を持つ娘を亡くした経験から2014年に同団体を設立。
AYA|代表理事・中川悠樹
団体概要|「病気や障がいのある子どもたちとその家族へ、“感動”体験を安心できる形で届けます」を使命とし、スポーツ観戦会や音楽鑑賞会など多彩なイベントを開催。「AYAインクルーシブ映画上映会」を各地で展開中。同イベントを2027年までに47都道府県に広げる計画。なかがわ・ゆうき◎救急科・外科専門医として、横浜労災病院等で勤務。2022年に任意団体AYA設立、23年に法人化し代表理事就任。JSPO公認スポーツドクター。
カタリバ|代表理事・今村久美
団体概要 高校生のためのキャリア学習プログラムから始まり、東日本大震災以降は子どもたちに学びの場と居場所を提供。コロナ禍以降はメタバースを活用し経済的事情を抱える家庭や不登校の子どもの生活・学習支援、2024年には能登半島地震等で被災した子どもたちの支援などに取り組む。いまむら・くみ◎慶應義塾大学卒。2001年にNPOカタリバを設立。文部科学省中央教育審議会委員、こども家庭庁こどもの居場所部会委員など務める。
CoCoTELI|理事長・平井登威
団体概要|寄付型NPOとして精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌づくりにチャレンジ。オンライン上での居場所づくりや相談支援、ピアサポーター養成講座、当事者同士の交流の場などを無償で提供。彼ら・彼女らが自分を主語に考える/話す時間に共に頭を悩ませながら伴走している。ひらい・とおい◎2001年生まれ、関西大学4年生。幼稚園年長時に父親がうつ病になり、虐待や情緒的ケアを経験。20年任意団体、23年NPO法人CoCoTELI設立。
うみのこてらす|代表理事・川邊笑
団体概要 「全てのこども・若者が自分らしく人生を歩く社会を地方の町まで」をビジョンに、徳島県で、地元の退職教員から大学生までと幅広いスタッフがこどもたちと関わりながら、不登校や貧困等悩めるこどもたちの居場所を核とした支援事業を展開。かわべ・えみ◎2000年生まれ。筑波大学卒業。大学生時代、3年間学習支援に関わったのち、教育格差や地域格差を感じ、地元徳島県に戻り、こども支援事業を開始。