同社のCEOのワヒード・ナワビは、直近で7億1700万ドル(約1070億円)の年間売上高を、今後の3〜5年で数十億ドルに伸ばすという野望を抱いている。エアロバイロンメントのスイッチブレードは、標的を確実に破壊する好機を狙って戦場を旋回するように設計された徘徊型兵器の自爆ドローンだ。
米軍は、このドローンを2010年にタリバン掃討のためアフガニスタンに密かに派遣した部隊に配備した後、2022年からその後継機種の「スイッチブレード300」を700機、ウクライナに供給している。本ドローンは1機の価格が約5万ドル(約740万円)であり、兵士のリュックに収まる大きさで簡単に発射できる。
また、最新機種である約40キロの射程を持つ「スイッチブレード600」の価格は約20万ドルで、すでにウクライナに数百機が供給されており、米国の最新支援パッケージでさらに600機が約束されている。
米陸軍は先月、エアロバイロンメントから2029年までの間に、最大9億9000万ドル(約1480億円)相当のスイッチブレードを調達するための契約を締結した。米軍の他の部門や同盟国も、ウクライナでの実績を受けて無人機の導入を加速しており、同社はさらなる契約を狙っている
一方、同社の多くの競合企業がこの分野を狙っており、昨年の業界団体の調査によると、32カ国123社が攻撃用ドローンを製造している。そこにはイスラエルのエルビット・システムズや、米国のパルマ・ラッキーが創業したAnduril(アンドゥリル)なども含まれている。
しかし、過去20年間にわたり国防総省に小型ドローンを静かに供給してきたエアロバイロンメントのナワビは、自社の技術に自信を持っている。「ペンタゴンの要求に見合うプロダクトを作るためには厳格なプロセスが必要だ。多くの競合他社はすぐに何千もの製品を作ると言うが、彼らはその難しさを知らないのだ」と彼は語った。
国防総省は、5月にエアロバイロンメントとの間で中国が台湾に侵攻した場合に備える「レプリケーター計画」で、スイッチブレードを調達するための契約を結んだ。この計画は、2025年半ばまでに数千の自律型ドローンを調達することを目指すもので、同社はこれまでのところ、唯一の社名が公開された企業となっている。