株価は2022年以降に4倍に
そんな中、投資家は国防総省に自爆ドローンを供給する唯一の上場企業エアロバイロンメントの成長に期待を寄せている。同社の株価は、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来、約4倍に上昇し、時価総額は61億ドル(約9100億円)となっている。また、エアロバイロンメントの4月30日までの1年間の純利益は6000万ドルで、収益は2020年からほぼ倍増していた。同社は、今後の数年間の売上成長率が少なくとも20%に加速することに自信を持っており、他社の買収も視野に入れている。
仮にロシアとウクライナ間の和平が成立したとしても、エアロバイロンメントには依然として大きな成長機会があると防衛アナリストらは指摘している。世界的に戦争の戦い方が変わりつつあるという認識が広まっているからだ。
「1億ドルの戦闘機や3000万ドルから4000万ドルの攻撃ヘリコプターを容易に調達できない国にとって、彼らのテクノロジーは解決策になるだろう」とキャピタル・アルファ・パートナーズのバイロン・カランは述べている。
9/11テロ後に事業を拡大
名目上はバージニア州に本社を構えているが、実際は創業地である南カリフォルニアを拠点とするエアロバイロンメントは、1971年の創業以来、環境に優しい技術を開発する研究機関としての評判を築き、1980年代には太陽光発電の飛行機や、ゼネラルモーターズ向けに太陽光発電の車両を設計した。しかし、商業化には苦戦していた。同社が大きな成功を収めたのは、2001年の9/11テロの発生以降のことだった。エアロバイロンメントが2001年に初飛行を成功させた小型の電動飛行機Raven(レイヴン)は、兵士のリュックに収まるサイズで、イラクやアフガニスタンの地上部隊に周囲の上空視点を提供する機会をもたらした。