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2024.10.22 13:15

マネージャー必読! 入山章栄教授が明かす「私が宗教組織をつくった理由」

──イスラム教が世界で信者を増やしていることと、組織研究の第一人者であるメアリー・アン・グリンの「優れた組織文化」がそっくりだという入山先生の指摘が面白く、そこに3つの要素が挙げられています。
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入山:1つ目が「価値観」で、「我々はこうあるべきだ」「こういうことが良いことだ」という共有される価値観ですね。イスラムの場合は「アッラーを信奉すべき」という揺るぎない教えがあります。2つ目が「ストーリー」。物語で腹落ちさせる。「アッラーは偉大なり」だけではピンとこない人には、さまざまなストーリーがある。

──3つ目の「ツールキット」というのはいろんな企業を見ていて納得感があります。成長する組織文化をもっている会社には、ツールキットがあります。

入山:イスラム教は神とつながるために、日々、さまざまな行為が決められています。共感性を高めるための「手立て(ツールキット)」とも言えます。会社でも他社から見たら意味がわからないことを儀式的にやっていますよね。定例の飲み会とか、トイレ掃除をみんなでやるとか。ツールがあると、教祖が死んでも価値観はうまく広がっていくんです。
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──一方で、語るべき未来や理想がない経営者はどうしたらよいか? という問題があります。創業者と違って、繰り上げで経営者になると、そこをつくるのは難しいです。

入山:「両利きの経営」でいうと、目の前のライバルとの競争だけを意識すると「知の深化」だけをやるようになり、大きな変化に必要な「知の探索」へ経営資源が割かれなくなります。社会・ビジネス環境の変化がより激しくなり、競合ばかりを意識していると、やがて競争そのものが自己目的化してしまい、競合相手だけをベンチマークとするようになります。その結果、細かな製品スペックなど小さなレベルでの成長しかできなくなり、大きな環境変化が起きたときに対応できなくなる。

──本の中では、日本のガラケーを例に出されていました。スマホの登場でも明らかなように、国内のライバルだけを見過ぎた結果、狭い領域での競争だけを意識するようになったと。では、どうしたらよいでしょう?

入山:「知の探索」は長期視点なのですぐに結果が出ないし、失敗も多い。スティーブ・ジョブズは典型的な「知の探索」の人だから、失敗も多いが、イノベーションを起こせた。「知の探索」は、小さなことから始める習慣化だと思います。私がビジネスパーソンの方々に薦めているのは、書店にいって、目をつぶったまま一冊掴んでください、というものです。それを買って、最後まで読むことを習慣化すれば、日頃の自分の関心事とはかけ離れたものと触れる機会が増えて、「知の探索」ができるのです。まずはこういう小さいことから始めて慣れるべきかと思います。読んだことのないジャンルを読む習慣をつけると、未来を語れるぐらいの知の探索はできますよ。

インタビュー・文=Forbes JAPAN編集部

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