いくつかの基本的な統計がその一端を物語っている。
米国勢調査局のデータによると、米国の2000年の成人人口の大部分は50歳未満で、30〜44歳が最も多かった。住宅購入や生活費、子育てなどで出費がかさむ年代だ。
ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外などの人口流入が急速に進んだ地域の学区は、人口増に対応するために新たな校舎の建設を余儀なくされた。セントラル・バックス学区は2004年に8400万ドル(約125億円)を投じて3校目となる高校を建設し、2000人の生徒を受け入れた。学区全体の総生徒数は2万人で、州で3番目の規模だった。
それから約20年後の2020年、人口の最も多い年齢層は55〜70歳にシフトしたことが国勢調査で明らかになった。米シンクタンクのピュー・リサーチ・センターの報告書によると、米国は2010年代に世帯数の増加率が少なくとも過去160年間で最も鈍化した。2020年までにセントラル・バックス学区の新入生数は約15%減少し、一部の小学校を閉鎖する計画も発表された。
米国の出生率は1950年以降、減少傾向にあり(2020年時点で半減)、国勢調査局のデータによれば婚姻率も1970年の半分以下となっている。子ども数を減らしたり子どもを持たない選択をしたりするカップルが増えるにつれ、1980年代にはDINKs(Dual Income、No Kids=共働き・子なし)という意地の悪い呼び名をつけられた消費者層が出現した。
今日においてもDINKsは、SINKs(Single Income No Kids=独身・子なし、または一方が働いていない子なしカップル)、DINKWADs(Double Income No Kids With a Dog=共働き・子なしでペットを飼っているカップル)、DINKYs(Double Income No Kids Yet=共働きでいずれ子どもをもうける予定のカップル)とともに健在だ。