稼働率を改善し事業を成長させることで、PEファンドは連結会社をより高い評価額で売却できるかもしれない。また、技術職の労働者を雇っている会社に投資することでポートフォリオを多様化し、さまざまなセクターに持つ資産のバランスを取ることもできる。
こうした利点を活用してPEファンドは魅力的なリターンを得ると同時に、技術職の業界の全体的な効率やサービスの質を改善できる可能性がある。
PEファンドによる投資の増加は、技術職の人にも利益をもたらしている。サンフランシスコを拠点とするAlpine Investors(アルパイン・インベスターズ)の創業者で、HVAC企業への初期投資家であるグラハム・ウィーバーは、Alpineが買収したHVAC企業の技術者は買収後の初年度に給与が20%増えるとウォールストリート・ジャーナルに語った。この給与増は主に賃金の上昇やボーナス、コミッション(委託料)によるものだ。
潜在的なマイナス面
PEファンドによるこうした業界での企業買収は、対象となる企業とその従業員にいくつかの不利益をもたらす可能性がある。大きく懸念されることの1つは、意思決定が投資のリターンを主に重視する投資家に移るため、企業のオーナーシップや支配力が失われる可能性があることだ。これは長期にわたる経営やサービスの質よりもコスト削減を優先する利益重視のアプローチにつながる可能性がある。新しいオーナーが効率性と収益性を最大化しようとするため、従業員は雇用不安の増大や福利厚生の縮小、より厳しい労働条件に直面する可能性がある。
見習いから始まって最終的に中小企業を買収または引き継ぐという従来のキャリアパスは取りづらくなり、技能を持つ労働者が自ら経営者になるチャンスは限定的なものになる。加えて、短期的な利益を重視するあまり、研修や設備、地域社会への貢献に関する支出が減り、全体的なサービスの質や会社の評判が落ちる可能性もある。
また、その地域の人が経営する中小企業が持つ独自の社風や価値観が損なわれ、長年の従業員や顧客の好みに合わないかもしれない、企業的で標準化されたアプローチに取って代わられるかもしれないリスクもある。
(forbes.com 原文)