この買収はまだ協議中だが、実現すれば直近の評価額が700億ドル(約10兆5000億円)のストライプにとって過去最大の買収となる。買収交渉の障害としては、規制面の問題やブリッジ共同創業者のザック・エイブラムスとショーン・ユーを含む社員への報酬の支払いが挙げられると2人の関係者が語った。
ストライプはコメントを控えた。ブリッジもコメント要請に応じなかった。
10億ドルという評価額は、ブリッジのこれまでの資金調達ラウンドにおける評価額からの大幅な上昇を意味する。同社は、これまでに総額5800万ドル(約86億円)を調達しており、直近のシリーズAラウンドでは評価額2億ドル(約300億円)で4000万ドル(約59億円)を調達したとされる。
ストライプは、2018年に技術的な問題と高い取引手数料のために暗号資産を用いた決済を停止したが、昨年10月に再開した。同社によるブリッジの買収は、ステーブルコイン分野により深く進出するための基盤となる可能性がある。フォーブスのデジタル資産トラッカーによると、Tether(テザー)やUSDC、Dai(ダイ)などを含むステーブルコインの時価総額は合計で1700億ドル(約25兆4900億円)以上に達している。
ブリッジは、企業がステーブルコインを使用した国際決済を受け入れるためのソフトウェアを提供しており、年間で50億ドル(約7500億円)以上の取引を処理していると、8月に出資元のセコイアがブログで述べていた。同社の顧客には、米国務省や米国財務省、スペースXやコインベースといった企業が含まれている。
ブリッジを共同創業したエイブラムスとユーの二人は、暗号資産や決済のエコシステムでよく知られた起業家で、彼らは以前、Venmo(ベンモ)の競合の決済企業であるEvenly(イーブンリー)を設立し、2013年にBlock(旧スクエア)に売却した。エイブラムスはその後、コインベースやBrex(ブレックス)で上級職を務め、ユーはDoorDash(ドアダッシュ)やAirbnb(エアビーアンドビー)で働いた後、2022年に再びタッグを組んでブリッジを設立した。
ストライプは10月初めに新たな「ペイ・ウィズ・クリプト」機能を発表し、顧客のチェックアウトオプションにステーブルコインを統合し、1.5%の取引手数料を課している。同社のプレジデントを務めるウィル・ゲイブリックは、この機能に関するフォーブスのインタビューで、ステーブルコインが特に米国外の一部の消費者にとってより効率的な支払い手段となる可能性があると語っていた。
ブリッジの買収がステーブルコイン関連の進展を助けるためかどうかを尋ねられたゲイブリックは、「当社は、この分野に非常に大きな投資をしているが、現時点で詳細は明かせない」と語った。
(forbes.com 原文)