米サンディエゴを拠点とするクリーンエネルギー企業のBeam Global(ビーム・グローバル)は、これらのニーズに応えるために、同社が開発する移動式の電気自動車(EV)向け充電ユニット「EV ARC」にさらなる機能を追加した。EV ARCは、ソーラーパネルを備えた工事不要の自家発電装置で、最近ではハリケーン「ヘリーン」の直撃を受けたフロリダ州に配備された。
しかしビーム・グローバルは今、ガザでの緊急のニーズに応えるために、このユニットに海水の淡水化装置や4台の電動バイク、さらにその充電ポートを組み合わせた「BeamWell」と呼ばれる新たなステーションを開発したことを10月16日に発表した。
「ガザでは昨年、電力や水のインフラの95%以上が破壊され、人々は飢えている。さまざまなNGOや寄付団体が人々を支援しようとしているが、最も不足しているのは飲料水だ。彼らの周囲には海水が豊富にあるが、飲み水がないのだ」と、ビーム・グローバルCEOのデズモンド・ウィートリーは述べている。
彼によると、BeamWellユニットは約4日でほぼどこにでも設置が可能で、最大3000リットルの海水を淡水に変えて貯蔵できる。さらに、各ユニットには、食料や水、医薬品、その他の必需品を迅速に運ぶための電動バイク4台が装備されている。
ウィートリーは、このユニットの利点が新鮮な水を供給できることのみにあるのではなく、それを運ぶ手段を確保している点にあると述べている。「実際、モビリティはBeamWellのコア機能の一つだ。フロリダやガザにこのツールを持って行って、海水から飲み水を作れると人々に言っても、その水をどうやって運ぶんだと言われるだろう」と彼は続けた。
このようなソリューションの需要は非常に大きい。ビーム・グローバルは、中東および北アフリカで約6000万人が清潔で安全な飲料水にアクセスできていないと最近のデータを引用して述べている。
特にガザでは、2024年10月時点で約230万人が清潔な水にアクセスできず、感染症が急速に拡大し、公衆衛生の危機に直面している。同社は、できるだけ早くこれらのユニットをガザに展開する予定だと述べている。もちろん、ガザにこのユニットを運ぶためには、政治的な障害を克服する必要があるが、「幸いなことに、私たちはこの地域に深く関わりを持つ人々と協力している」とウィートリーは説明した。
一方、ビーム・グローバルのEV ARCは米連邦緊急事態管理庁(FEMA)の災害対策製品のリストに掲載されており、このユニットとBeamWellの組み合わせは今後、ハリケーン「ミルトン」の被災地域でも利用される可能性がある。
(forbes.com 原文)