可能性はある。彼は今、大統領として政府にいるわけではないので、この買収問題についてすべての情報を知らされていない。つまり、大統領になってすべての情報に接してからこの問題について考慮すれば、買収についての考えが変節することはありえる。トランプ氏が今、私人として考えを表現しているので、これについて何ら問題はない。CFIUSもそれを踏まえてまた見直しをすることもあり得る。また、トランプは、中国が電気自動車工場をアメリカに建設することを前向きに検討すると示唆したこともある。これは、国家安全保障上、明らかに問題を孕んでいると言う者もいる。
──先日、アメリカのテレビで、次期トランプ政権でまた要職に就く可能性があると言われているロバート・ライトハイザー前米通商代表部(USTR)代表が、この買収には反対だと言っていましたが、次期トランプ政権に入れば見解が変わる可能性も?
政権に入れば、事項を検討するに当たり、大統領の意向に沿って動くのはごく自然なことだ。トランプ氏は大統領時代に、ライトハイザー氏がきちんと責務を果たしていたため、明らかに信頼も得た。ライトハイザー氏は現在、私人なので、どんな立場で何を言っていても問題ない。
政権にまた入れば、政府内の同僚からさまざまな視点を聞き、ともに課題に取り組むことで、取引を止めることが将来的にどんな意味をもたらすのかといった影響がわかる。政権に入るとさまざまな見方が変わるのはよくあることだ。
──日米関係にも影響を及ぼす可能性があるので今後どうなるのかは非常に注目されていますが、「決裂」は日米関係にどのような影響を及ぼしますか?
私たちは同盟国として日本を必要としており、日本も私たちを同盟国として必要としています。同盟国の間で争うことはできない。私たちは、新たな投資、新しい技術が必要であることを心に留めておく必要があると思う。繰り返しますが、私や一般国民は機密に関わる情報などは知らないので最終的な結論は出せないですが、少なくとも、大統領や副大統領はこの問題について言及せずに静かにしているべきだ。
──元トランプ政権の関係者として、もしトランプ氏が勝利したら、どんな日米関係になると思いますか。
トランプ氏の最初の任期を振り返ると、彼が故人である安倍晋三元首相と築いた親密な関係は非常に素晴らしいものだと思った。お互いにとって、だ。
この先に何が起こるかは誰にもわからないが、現政権の下で、アメリカ側が在日アメリカ軍を「統合軍司令部」として再構成するなど日米が軍事協力など基盤と枠組みを強化するのは素晴らしい兆候だ。そしてそれはハリス政権でもトランプ政権の下でも続くと見ている。
中国による、武力の威嚇や、攻撃性は、懸念すべきことだ。私は、政府関係者やビジネスパーソンやその他の人々と会うたびに、その懸念を何度も耳にしている。