無料のソフトウェアアップデートにより、一般には10月28日の週以降に公開を予定するAirPods Pro 2の新機能を先行体験・取材した。
アップルが臨床研究に基づいて開発した2つの聴覚支援機能
このたびソフトウェアアップデートの対象になるワイヤレスイヤホンはAirPods Pro 2(以下:AirPods Pro)で、追加される主な新機能は「ヒアリングチェック(聴覚検査)」と「ヒアリング補助」の2つ。最新のOSに対応するiPhone、またはiPadにペアリングして、AirPods Pro 2を身に着けた状態で使用可能になる。ヒアリングチェックは「気導聴覚検査」という、イヤホンを両耳に装着しながらiPhoneを使って約5分間のテストトーンを再生して、認識できる最小音量を調べる検査になる。結果からオージオグラム(聴力検査のデータ)が作成され、難聴の可能性と度合いをiPhoneのヘルスケアアプリに提示する。
ヒアリング補助では、上記のヒアリングチェックから得られたオージオグラムを基にユーザーの聞こえをサポートするカスタムプロファイルを生成する。ユーザーはAirPods Proの使用環境に合わせて会話の強調、または環境音を減らしたりなど微調整が行える。
アップルはこの聴覚の健康をサポートする機能を、ミシガン大学公衆衛生大学院と世界保健機関(WHO)と組んで実施した長期的なバーチャル公的研究調査である「Apple Hearing Study」による大規模な臨床研究に基づいて開発した。
日本導入に際してはAirPods Proのソフトウェアと、iOSなどAppleデバイス側のソフトウェアのペアで構成されるモバイルアプリケーション「Appleのヒアリング補助プログラム」について、薬機法(医薬品医療機器法)に定められた管理医療機器としての承認を取得した。つまりAirPods Proによる聴覚の健康をサポートするソフトウェアは医療機器グレードの信頼性を備えているというわけだ。
薬機法によると、医療機器である補聴器本体は消費税の非課税対象になる。だが、AirPods Proの場合は無料のソフトウェアが管理医療機器として承認された。筆者が取材したところ、アップデートの実施後もアップルによるAirPods Proの販売方法は当面従来と変わらないようだ。