サイエンス

2024.10.20 14:00

楽観主義も度を越せば有害になる 3つの兆候

2011年の研究結果でも示唆されているように、人は悪いニュースを受けとったときよりも、良いニュースを受けとったときのほうが自分の信念を更新しやすく、楽観主義を貫きがちだ。これは脳が、楽観的な信念を揺るがす否定的な情報の処理があまり得意ではないために起こる。

楽観性バイアスは、人々が自己認識を過大に膨らませ、情報不足のまま状況に肯定的評価を下すことにつながる。その結果、成長や改善の余地のある領域の特定が難しくなる。

常に良いことばかりに注目するのではなく、状況のプラス面とマイナス面の両方を評価できるバランスのとれた視点を養うことが重要だ。

2. 都合の良い未来を空想する

楽観性バイアスがあると、可能な限り最高の結果を思い描き、失敗の可能性を予期しなくなりがちだ。バックアッププランなしに大きな目標を立てたことがある人なら、これがどんな感じかよくわかるだろう。

自分の将来について必要な行動を起こさず、ただ楽観的に考えるだけだとしたら、まったくうまくいかないだろう。大きな希望を抱くのはモチベーションを高めるために重要だが、楽観的な期待に頼りすぎると、避けがたい困難が立ちはだかったときに失望を味わうことになる。

新しい取り組みにワクワクしている状況を考えてみよう。たとえばビジネスを始めたり、新しいフィットネスの目標を設定したりする場合だ。あなたは、障害の可能性を無視して成功だけを予想しがちだろうか?

盲目的な楽観主義は、今後待ち受ける困難への備えができていない状態につながる。そうした困難は、不意打ちのショックとして表面化するかもしれない。強い楽観性バイアスを示す人は、楽観的な結果を過大評価してリスクを過小評価しがちであり、物事が計画通りに進まなかったときに感情的苦痛を受けやすい。

2022年の研究では、前向きで楽観的なのは良いことだと思われがちだが、常にその姿勢を維持すると実は害になり得るという考え方を検証している。あらゆる状況において楽観性を一般化することは、表面的にのみ楽観的な認識につながり、実際の感情や論理的な反論を否定したり軽視したりする結果につながるという。
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翻訳=ガリレオ

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