例えば、5人組のアーティスト集団、オル太の「超衆芸術 スタンドプレー」は、新国立競技場を模したインスタレーションで、都市の中の事象を都市の機能の一部であるスタジアムとして見せる機能を担っていた。suzuko yamada architectsの「awt bar」は、コンテンポラリーアートのインスタレーションかと思ったら、建築家の設計したバーがモチーフになったフレームの作品。ギャップに富む作品の横で、ランダムにパフォーマンスが繰り広げられていた。
他にもイスラエルのガザ侵攻や、中国台湾の二国関係といった国際情勢をとりあげた作品もあり、多様な観点で国際色も豊かに「都市」にフォーカスがあてられていた。内容的にはある程度見る人を選ぶ部分もあったようにも感じたが、パフォーマンスアートをはじめとして生の動きが多かったこともあってか、訪れた観客のアテンションはかなりとれていた印象があった。
アートエキシビション以外の会場では、44名のアーティストが作品の展示・販売を行うアートフェア「MEET YOUR ARTISTS」をはじめ、本年初開催のTOKYO ART MARKETや、ファッションや雑貨を販売するマーケット、飲食店ブースが立ち並び、音楽ライブやトークショーが切れ間なく開催されるなど、必ずしもアート好きでなくても愉しめる、コンテンツも充実していた。
今年のステイトメントで目標として掲げられた「アジア最大級のアートとカルチャーの祭典」へは、まだまだ進化の過程にあるのだろうが、アートへの興味に一定の幅がある万単位の集客が毎年積み上がっていくことではじめて到達できる極地、いわゆる欧米的なグローバルのアートフェアとは別の立ち位置があるようにも感じた。
来年以上に、5年後のこのイベントがどうなっているのか、予測ができない分、興味が湧く。