チョコレートが幸福感をもたらすことは、ロッテをはじめとする各機関の研究で知られるようになった。チョコレートの食感と幸福度の関係についても先行研究はあるが、主観的幸福度(満足感や安心感など自覚できる幸せな感覚)を客観的に評価した事例は少ない。そこでロッテは、同一組成のミルクチョコレートの粒度だけを変えたものを食べたときの感情の変化を、ミルクチョコレートが「嫌いではない」22歳から63歳の男女35人の協力で調査した。ミルクチョコレートを食べる前後、食べている間の主観的評価をアンケートで、自律神経と脳波は身体測定で割り出した。
まずは、粒度の違いにかかわらず、ミルクチョコレートを食べると幸福感が有意に上昇することがわかった。粒度の違いを伝えずに食べてもらったところ、なめらかなほうを好む人が28人中24人、より幸福感をおぼえたのが滑らかなほうだと答えた人は28人中25人となった。「元気をもたえたか」、「癒やしを感じたか」という質問では、滑らかなミルクチョコレートのほうがそう感じた人が多く、有意差が認められた。
自律神経についても、粒度の違うミルクチョコレートで有意な差が見られ、滑らかなほうがリラックス状態を示す副交感神経の指標、HF値が高くなった。さらに、チョコレートを食べた後の脳波は、粒度の違いで集中度を高める前頭部ミッドアルファ波とローベータ波がともに有意に低下して、リラックス状態であることが示された。
監修を担当した東京大学大学院農学生命科学研究科特任研究員の朝倉富子氏によると、滑らかなミルクチョコレートを食べると心が落ち着いて、それが「幸福感が高い」という結果に結びつくと推測されるということだ。食感の違いだけで脳波に違いが見られたことから、脳波の周波数帯域の変化と幸福感との間に関係性があるかもしれないとも話している。今後は、セロトニンやオキシトシンなど、いわゆる幸せホルモンとの関係などを多角的に研究し、主観的幸福感の可視化を目指すとのことだ。
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