今、復活する理由
なぜ今、DESIGNTIDE TOKYOが再び開催されるのか。設立者のひとりE&Y代表取締役/デザインエディターの松澤剛に加え、新たにファウンダーとして参画するログズ代表取締役の武田悠太は、アートギャラリーやアートフェア、レストラン、さらには10代向けの教育プロジェクト「GAKU」などを手がける経営者だ。
武田は、「世の中の関心がアートに向きすぎているので、デザインをやろうかなと思った」としながら、アート業界とも異なるデザイン領域の課題や重要性に触れ、次のように意気込みを語っている。
「日本経済が停滞して30年。国民負担率の増加や少子化によるマイノリティ化の影響で、若年層は相対的に元気を失っています。“タイパ”や“コスパ”を重視する姿勢は、若いクリエイターたちが、"クリエイティブ"よりも”サバイブ"を優先せざるを得ない状況であるという切実な問題であり、実は日本全体のあらゆる業界で見られる現象です。
特にプロダクトデザインの領域では、プロトタイプの制作にコストがかかることもあり、企業の発注が保守的になっています。当イベントのような発表の場もない中で、クリエイターがわざわざ『売れるかわからない』挑戦的な作品を発表する機会もメリットも少なくなっている。日本の『ものづくり』を支えてきたクリエイティビティが揺らいでいるんです。
また、デザインの意味も変化しつつあります。情報過多で刺激的なコンテンツに麻痺した状況では、炎上などの"過剰性"や"違和感"が求められる。
一方、誰もがiPhoneを持ち、都市が機能的で美しい時代において、デザインは日常化しています。 さらに、サステナビリティやユニバーサルデザイン、投資対効果といった社会的プレッシャーがデザインの創造性を抑え込んでいる一面もあり、デザインは今、力を失いつつあるのではないでしょうか?
デザインを取り巻く社会が大きく変化する今だからこそ、『DESIGNTIDE TOKYOを復活させませんか?』とCo-founderの松澤氏に持ちかけ、機会を頂きました。多くのデザイナーや企業が一同に介す場でこれからの時代を拓く新しいデザインの潮流(TIDE)を模索し、その可能性の萌芽を見出せるような機会になれば幸いです」