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2024.10.17 17:45

伝統工芸漆器の廃材で産まれた高級漆器

プレスリリースより

石川県加賀市の伝統工芸「山中漆器」を作る際に出る木の屑をアップサイクルした、サステナブルでリサイクル可能な木地(漆を塗る前の器)が誕生した。欅の木粉を原料としているため、木地のままでも深い味わいがある高級な製品として大きな可能性を秘めている。

プラスチック成形や産業用素材の開発などを行う菱華産業は、木屑などから作られる木質バイオマス成形素材「MIRAIWOOD」(ミライウッド)を開発し、山中漆器の人気ブランド「我戸幹男商店」の協力による「MIRAIWOODサステナブル漆器木地」を発表した。MIRAIWOODは木粉などのバイオマス材料と植物由来の生分解性樹脂をブレンドして作られていて、石油成分は通常のプラスチック製品と比較して約70パーセント削減されている。体積の80パーセント以上、比重の51パーセント以上が植物由来であることからバイオマス度は73.3パーセント以上となり、日本有機資源協会のバイオマス70認定を取得した。
プロダクトデザイナー森豊史氏のデザインによるMIRAIWOOD漆器木地の試作品。

プロダクトデザイナー森豊史氏のデザインによるMIRAIWOOD漆器木地の試作品。

MIRAIWOOD製品は、ペレット状の材料から射出成形して作られる。サステナブル漆器木地は、漆器製造工程で出る欅などの木粉を回収してMIRAIWOODに加工した後に、我戸幹男商店の監修のもとで「伝統工芸の職人が扱いやすく、汁椀のデザインバリエーションを作りやすい」ように配慮されて作られた。この木地は一般的な汁椀の製造に適しているが、「伝統工芸の技術によりさまざまなデザインの漆器腕を作ることができる」という。

MIRAIWOODに使用する材料は木粉に限らない。明治とのコラボレーションでは、カカオ豆の皮(カカオハスク)を使ったMIRAIWOODの蓋付きの菓子器「CACAO ボンボニエール」も発表している。
ボンボニエールの試作品。左から無塗装のもの、カカオハスクを使ったもの、我戸幹男商店のツヤ消し黒漆GATOマットブラックを塗ったもの。

ボンボニエールの試作品。左から無塗装のもの、カカオハスクを使ったもの、我戸幹男商店のツヤ消し黒漆GATOマットブラックを塗ったもの。

サステナブル漆器木地は、菱華産業または代理店を通じて受注生産を行う。MIRAIWOODは既存のプラスチック成形設備で、バイオマス製品や木製品が成形製造できるため、今後は「既存の漆器木地業界にも木粉回収の協力や製造連携の輪を広げ、国内の木材を無駄なく有効活用するサプライチェーンアライアンスを広めていく」と菱華産業は話している。また、日本の伝統工芸は「環境志向の高い欧米での人気が高く」サステナブル漆器木地は「このニーズに応える商品」ということで、グローバル展開も期待される。

MIRAIWOOD製品は「miraiwood shop」で購入できる。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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