国内外で注目「VRストレスチェックシステム」
島藤安奈|ニューラルポート代表取締役島藤安奈が創業したニューラルポートは、見えないストレスを最先端の技術力で「見える化」する関西発スタートアップ。VRに搭載された視線計測とAI技術でストレスを可視化し、ハイパフォーマンスなメンタルづくりをサポートする「ZEN EYE PRO」の事業開発を行う。大阪・関西万博2025に向けゾーン状態を科学的に再現する「ZONE-Z」の開発も行い、VRストレスチェックでのストレススコアに合わせ、映像や音、匂いといった外的環境から20分程度のニューロフィードバックトレーニングで個人のハイパフォーマンス化を目指す。
しまふじ・あんな◎大阪大学、大阪大学大学院人間科学研究科でヒトの視線行動特性について研究。東京大学IRCNや国際電気通信基礎技術研究所にて脳と知能に関する先進的で総合的な研究に従事。その後22年2月に事業化。
幸せに病める世界をつくることを目指す
高桑蘭佳|メンヘラテクノロジー 創業者幸せに病める世界をつくることを目指して活動を行う。大学院では「メンヘラ」について社会学×データ分析で研究を行う。メンヘラテクノロジーでは、自身の病んだ経験をもとに、メンヘラ向け匿名相談アプリ「メンヘラせんぱい」やイケメンキャストとつながる通話アプリ「DIALS2」を立ち上げる。彼氏を束縛したくて起業した大学院生としてテレビ朝日「激レアさんを連れてきた。」、フジテレビ「アウト×デラックス」、ABEMA「ニューヨーク恋愛市場」「指原莉乃&ブラマヨの恋するサイテー男総選挙」などに出演。
たかくわ・らんか◎石川県金沢市出身。東京工業大学環境・社会理工学院研究生。2018年(修士課程1年時)にメンヘラテクノロジーを創業。CoCo壱番屋が好きすぎて、TVチャンピオン極「ココイチ王決定戦」で優勝。
「官民共創のイノベーション」創出のために
池田陽子|経済産業省 競争環境整備室長/経済産業研究所 コンサルティングフェロー公正でダイナミックな競争環境の実現には、スタートアップをはじめとするイノベーターの参入と成長が不可欠。しかし、AIやブロックチェーンなどが加速的に変革の機運をもたらす一方、新しいビジネスモデルを社会実装できないのはなぜなのか。現役官僚の思いや思考プロセスに踏み込み、ルールの観点からこの問いに答えた『官民共創のイノベーション 規制のサンドボックスの挑戦とその先』(ベストブック, 2024)を共編著。サイバーダイン社のケース論文は、イノベーション研究のトップジャーナルTechnovation誌に掲載。
いけだ・ようこ◎経済産業省入省以来、イノベーション政策とグローバルなルール形成戦略に従事。内閣官房ではスタートアップ政策を統括、デジタルプラットフォーム規制に対応。経済産業研究所コンサルティングフェロー。
注目される「AI安全性」の研究者
荒井ひろみ|理化学研究所 革新知能統合研究センター人工知能安全性・信頼性ユニットユニットリーダー人工知能(AI)をはじめ情報技術およびその利用における安全性、信頼性に関する研究を行う。さまざまな場面を想定したリスクおよび対策を、プライバシー、公平性、有効性などの観点から研究。計算機科学、課題によっては学際的な共同研究によってアプローチ。具体的にはパーソナルデータ利用におけるプライバシー保護技術、人工知能の説明におけるリスク、人工知能のバイアスや公平性、ファクトチェック行動などの研究だ。現在は、理化学研究所革新知能統合研究センター人工知能安全性・信頼性ユニットユニットリーダーも務める。
あらい・ひろみ◎東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了。博士(理学)。理化学研究所基礎科学特別研究員、東京大学助教、理化学研究所研究員などを経て現職。
人間のように言葉を操るAI実現を
荒瀬由紀|東京工業大学情報理工学院教授人間のように言葉を理解し操る人工知能(AI)の実現を目指し研究に取り組む。大規模言語モデル(LLM)が登場し、コンピュータによる言語処理技術は飛躍的に進化したが、コンテキストや文化的背景を考慮した言葉の意味や言外の意図の理解、論理的整合性のとれた文章の作成、さらには読み手にわかりやすい記述といった高度な言語処理は困難。これらを実現し、人間と遜色ないレベルで言語を理解し生成する技術の研究に共同研究者と取り組む。また応用として英語学習支援システム、医療従事者を支援する医療言語処理システムを開発。
あらせ・ゆき◎2010年大阪大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。同年MicrosoftResearch Asia入社、自然言語処理研究に従事。14年より大阪大学准教授、24より年現職。
「AIガバナンス」世界で議論
江間有沙|東京大学東京カレッジ准教授/理化学研究所客員研究員人工知能(AI)やロボットを含む情報技術と社会の関係について研究。AIやヴァーチャル・リアリティなどの最先端技術と上手に付き合っていくため、「私たちはどういう社会に住みたいのか」というビジョンを考えるための方法論の開発や対話の場を設計。内閣府AI戦略会議構成員や人間中心のAI社会原則会議の委員を務めている他、国連のAIに関する諮問委員会メンバー、OECD(経済協力開発機構)の Expert Groupや、国際的なAIに関する専門家ネットワークGlobal Partnership on AIの仕事の未来部会にも参画。
えま・ありさ◎2012年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。専門は科学技術社会論(STS)。主著は『AI社会の歩き方─人工知能とどう付き合うか』(化学同人)、『絵と図で分かるAIと社会』(技術評論社)。