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2024.10.19 14:15

現役慶大生が学友卒業生に取材、「慶應義塾幼稚舎」の受験事情と学舎生活

ANURAK PONGPATIMET / Shutterstock.com(写真はイメージ)

2024年に創立150周年を迎えた慶應義塾幼稚舎は、日本で最も古い私立小学校の一つである。「幼稚舎」と聞くと幼稚園を想像しがちであるが、実際は小学校であり、ここに入学するために、全国のエリート幼稚園生による倍率10倍を超える熾烈な競争が繰り広げられている。

筆者は現在慶應義塾大学に通っているが、幼稚舎出身の友人は人柄がよく魅力的だ。ここでは、幼稚舎の受験事情から学校生活まで、幼稚舎出身の大学生2名、Aさん・Bさん(仮名)へのインタビューをもとに紹介する(受験や学校生活については、Aさん・Bさんが在籍していた当時の内容であることにご留意いただきたい)。

慶應幼稚舎〜の学費事情


幼稚舎の年間学費は初年度166万円、2年生以降は132万円。小学校6年間で826万円かかることになる。慶應義塾は一度入学すれば、大学までエスカレーター方式で通える。

小学校には幼稚舎と横浜初等部、中学校には普通部(男子校)と中等部(共学)、湘南藤沢中等部(共学)、高校には高等学校・志木高等学校(男子校)、女子高等学校(女子校)、湘南藤沢高等部、ニューヨーク高(共学)がある。小学校から大学までの16年間慶應に通った場合、

幼稚舎(小学校):826万円
普通部(中学校):371万5000円
高等学校:334万3000円
大学(仮に法学部):505万3100円

で計算すると約2037万円かかることになり、小学校から大学まで全て公立に通った場合の平均学費約745万円とは約3倍の開きがある(参考:文部科学省学費調査(令和3年)

なぜ慶應幼稚舎に?


ここまで学費が高額であるにもかかわらず、世の親たちはなぜ子どもを慶應に通わせたいと思うのか。その理由は2つあると筆者は推測する。

第一に、「独立自尊」を重んじる自由な校風である。「自他の尊厳を守り、何事も自分の判断・責任のもとに行う」ことを意味するこの言葉は慶應義塾に根付いており、個性を尊重する教育が行われていると感じる。慶應には多くの芸能人・アスリート・実業家やその子弟が通っているが、自分が慶應大学に通ってみて気づいたのは「いい意味で、誰も幼稚舎出身者を特別扱いしない」ということだ。子どものありのままの個性を尊重し、育ててもらえる。誰にとっても過ごしやすい。こうした教育環境はエリート層の親たちにとって望ましいのではないか。
Getty Images
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また、第二の理由は、確約されたエリート人生である。前述の通り、慶應は一度入学すれば、大学までエスカレーター方式で通うことができる。

慶應義塾大学の上位就職先企業をみてみると、ベイカレント・コンサルティング、アクセンチュア、デロイトトーマツコンサルティング、三井住友銀行、東京海上日動火災保険など有名企業が名を連ねている。一度慶應義塾に入学すれば、大企業に勤めるエリート街道まっしぐらというわけだ。こうした「エリート人生」を小学校のうちから確約させたいという願いが、世の親を幼稚舎受験へと向かわせるのではないか。
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取材・文=神谷果歩(Forbes JAPANスチューデント・エディター) 編集=石井節子

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