政治

2024.10.16 10:30

選挙時は事実よりも「家族や友人」の意見を信頼との調査

調査会社Morning Consult(モーニング・コンサルト)が、米公共問題評議会の依頼で2024年に実施した世論調査では、政治関連のニュースや情報を知る手立てとして最も信頼している情報源を尋ねた。その結果、過半数(67%)の人が、最も信頼できる情報源は「友人と家族」だと回答した。これは、「政党(民主党42%、共和党35%)」や「ニュースメディア(40%)」、「ソーシャルメディア(35%)」を大きく引き離す数字だ。

また、シラキュース大学とIpsos(イプソス)が共同実施した8月の世論調査では、参加者に、2024年選挙について「100分間で十分な情報を集めて投票しなければならないと想像するよう」依頼した。その上で、異なる情報源にどのくらいの時間をかけるか尋ねたところ、時間数が最も多かったのは「家族と友人」で、ほかの8つの情報源(テレビニュース、ケーブルテレビニュース、全国紙、ソーシャルメディアなど)を大きく引き離す結果となった。

同じ調査を5月と7月にも実施していたが、結果はまったく同じだった。5月、7月、8月の3度の調査とも、民主党支持者、共和党支持者、無党派層がすべて、友人と家族の意見に最も耳を傾ける、と回答した。

Axios(アクシオス)とイプソスは、まったく別の複雑な問題についても調査している。「健康」に関する情報源として最も信頼できるのは誰かを尋ねたところ、「かかりつけ医の情報に大きな信頼を寄せる」「かなりの信頼を寄せる」と回答したのは合わせて86%に上った(それぞれ37%と49%)。それに続いたのが「家族や友人」だ(74%)。信頼度の高さでは、米疾病予防管理センター(CDC:63%)、米国立衛生研究所(NIH:62%)、米食品医薬品局(FDA:61%)、あるいは居住している州の知事(39%)は、かなり後れを取った。

ヤンケロビッチは、人々が重視するのは価値観だと考えていた。一般市民は、事実と価値観を(ジャーナリストのようには)区別しない、とヤンケロビッチは述べる。つまり、「客観的」事実と「主観的」価値観を明確に区別するような「近代型の知識パラダイム」について、ヤンケロビッチは懐疑的だった。

ヤンケロビッチが呼ぶところの「近代科学以前の知識獲得方法」は、実際には、「共生という重要な問題に対しては、現在の知の理論よりも大きな妥当性をもつ」。情報に乏しい一般市民は、健全で、ときには賢明な判断を下すことができると、ヤンケロビッチは主張していた。

こうした判断を下すプロセスは、しばしば時間がかかる。この二極化した時代においては、なおのこと難しいだろう。制度に対する信頼が非常に薄れている、現在のような状況下では、一般市民が、いかに家族や友人との対話を頼りにしているのかを理解することは確実に重要だ。

ファクトチェッカーは、ワシントンD.C.という政治的に隔絶された空間にいる私たちのような人間だけでなく、さらに多くの人たちのために、事実を確認し続けるだろう。とはいえそれだけでは、人々が2024年大統領選挙や、生活にとって重要な決断を下すための根拠としては不十分なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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