これが、外交・国際政治専門誌『フォーリン・アフェアーズ』の最新号に掲載された、中国の政策によって引き起こされた生産能力過剰問題についてのゾングアン・ゾイ・リューの優れた分析から私が得た大きな学びだ。中国の生産過剰の問題は自国経済だけでなく、世界全体の経済も危うくしている。
「長年にわたって中国政府の産業政策は、原材料からバッテリーやロボットなどの新しい技術に至るまで生産設備への過剰投資につながっており、その過程で地方自治体や企業に巨額の負債という重荷を負わせることが多い」とリューは書いている。「簡潔に言えば、中国は多くの重要な経済部門において、国内や海外の市場が持続的に吸収できる量をはるかに上回る生産を行っている」
こうした指摘は新聞でも見受けられるが、リューはこの生産能力過剰がもたらしている危機の根本原因について深く掘り下げ、経済計画を立てる中枢部の者たちが自分たちの想定を意図的に「模擬攻撃」することにほぼ完全に失敗していることを明らかにした。リューは、需要と供給は互いに関連性のないものであるという経済学の基本的な考え方をまったく理解していないと指摘する。
「中国共産党が考えるように、消費は個人がそれぞれに判断して気の向くままに行うものであり、中国の中核的な経済力である産業基盤からリソースを流出させる恐れがある」とリューは説明する。「党の伝統的な考えによると、中国の経済的優位性はその少ない消費と高い貯蓄率に由来する。これが、国有銀行によって産業界に注入される資本を生み出している」
このため、中国のメーカーは政府が安定的に提供する低コストの融資に依存することになる。融資はロボットやソーラーパネルなど対象となる産業の非現実的な生産目標を達成することで党内での地位を高めようと躍起になっている地方自治体の指導者からの簿外融資という形で行われることが多い。これにより値下げ以外に競争力を持たない国内メーカーの間で不健全な競争が生まれ、メーカーは増える負債を返済すべく売上をなんとか確保しようと工場の生産量をさらに増やさざるを得なくなる。そうした生産量は国内需要をはるかに上回り、メーカーは増え続ける余剰分を世界市場に放出せざるを得なくなる。
多くの国で保護主義的な考えが強まっているにもかかわらず、中国共産党の経済政策の担当者らは、余剰分をずっと輸出し続けられない理由はないとみている、とリューは言う。