これは、中国にとってはもちろんのこと、他の国々にとっても持続可能なことではない。経済学者アダム・スミスなら3世紀前に中国共産党に喜んで説明しただろう事実だ。
産業政策が失敗しているという証拠が積み重なっているにもかかわらず、中国が誤った政策を続けているのは、政策が間違っているかもしれないと党の指導者たちが考えることすらできないことを物語っている。それは残念なことだ。というのも、これらの政策をレッドチームの視点で分析すれば、その限界を容易に発見することができ、40年間にわたって維持されてきた短期的で全体のことは考えない思考が今まさに自国を危機に陥れていることを明確にできるからだ。
意思決定を支援するためにレッドチームを設置するというのはもともと、米軍や情報機関が自らの過ちを繰り返さないために考え出したものだが、この手法は経済問題の分析にも適している。レッドチームが用いるツールキットには、仮定をストレステストし、目に見えない脅威を発見し、逃した機会を浮き彫りにするテクニックが含まれている。これらのツールは、策定した戦略がどのように失敗し得るのかを把握するのに役立つ。失敗を想定することで、戦略が失敗しないよう、計画を策定する者が積極的に行動できる。レッドチームの活用は集団思考を克服し、現状に挑戦することで新たなアプローチを明らかにし、革新的な思考を促すことにもつながる。
中国と世界にとって残念なことに、中国政府内では国の中央計画の根底にある、そしてますます説得力を失っている前提を疑ってかかるという意欲はほとんどないようだ。
アーロン・フリードバーグは、フォーリン・アフェアーズ最新号に掲載された明快な別記事でこう書いている。「習近平と中国共産党が西側の経済学者と同じように中国経済を考えていると推定するのは間違いだ。習近平の経済政策を理解する鍵は、習近平の経済政策が繁栄ではなく、主として権力に関わるものであることを認識することにある。他国との貿易摩擦を引き起こす危険を冒してでも、習近平が世界の工業力を中国に集中させることを推し進めるのはほぼ間違いないだろう」
(forbes.com 原文)