性格特性としてのマキャベリズムは、他者を犠牲にして個人的な目標を達成するために欺瞞や操作を用いることが特徴である。この特性は、ナルシシズム(自己愛)、サイコパシー(反社会的性格)、サディズム(加虐性)とともに「ダークテトラッド(暗黒四因子)」と呼ばれる一群に含まれている。
『Frontiers In Psychology』に掲載された研究では、マキャベリズムの感情的特徴を調査し、感情の欠如、低い共感性、そしてそれに伴う対人操作の複雑な相互作用が明らかになった。
以下は、研究に基づくマキャベリズムの2つの核心的な特徴である。
1. 感情機能の欠如
マキャベリズムが高い人物の主要な特徴の1つは、感情の欠如である。彼らは冷淡で無関心な態度をとり、世界をシニカルに見る。この感情の欠如は単なる共感の不足にとどまらず、「失感情症(アレキシサイミア、自らの感情を識別し表現する能力が欠如する状態)」や「無快感症(アンヘドニア、快楽に対する感受性が低下する状態)」といった特定の感情的欠陥を伴っている。一見すると、マキャベリ的な人物は他人の感情や動機を読み取り、社会的状況を自分の利益に操作する優れた社交スキルを持っているように思われるかもしれない。しかし、研究者たちはこれをより複雑で多面的に捉えている。彼らは基本的な社会的サインを理解し、それを戦略的に利用できるが、他者の複雑な感情や経験のニュアンスを理解する「認知的共感」(他者の感情や視点を知的に理解する能力)が欠けていることが多い。
これらの感情的な盲点により、彼らは他人と感情的に繋がることが困難であり、内省的な能力の欠如や操作的な行動傾向として表れることが多い。感情的な気づきの欠如は、有害な行動を抑制するためのフィードバックを受け取りにくくし、行動の結果に対する反応も鈍くなる。そのため、彼らは健全で前向きな交流を避け、他人を操作し支配することで満足を得ようとすることが多い。