中毒性のある設計やユーザーデータの取り扱い、10代のユーザーを保護する安全策の欠如をめぐり、TikTokは世界中の規制当局から次々と訴えられ、調査の対象になっている。直近では、米13州と首都ワシントンD.C.の司法長官が、TikTokは意図的に中毒的な設計になっており、子どもや10代の若者に害を与えたとして提訴した。
今後の罰金に備えて10億ドルが準備されていることは、事業所の設立登記などを行う英国のカンパニーズ・ハウスに最近提出されたTikTokの欧州事業の会計報告書で明らかになった。この報告書には、TikTokの欧州での収益が2022年の26億ドルから昨年は45億7000万ドルに急増したことも示されている。損失は2022年に5億1200万ドルだったのが2023年には13億ドルと3倍近くになっている。
報告書には「EU一般データ保護規則(GDPR)の解釈はまだ流動的で、データ保護当局による調査を踏まえた措置は見直される可能性がある」ため、罰金がいくらになるかは明確ではないと書かれている。
欧州でTikTokが直面する罰金と罰則の総額は、2023年の会計で準備した10億ドルを超える可能性がある。欧州委員会(EC)は今年2月にデジタルサービス法(DSA)に基づいてTikTokの調査を開始した。欧州連合(EU)はDSAに違反した企業に対し、最大で世界の売上高の6%に相当する罰金を科したり、禁止措置を取ったりすることができる。