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2024.10.25 11:02

【前編】持続的成長をデザインできる企業とは〜サステナグロースカンパニー2024受賞企業発表

「サステナグロースカンパニー大賞」に続く、審査委員会推薦部門4賞、ノミネート部門6賞にも強い理念と独自の強みを有するビジネスを展開する個性的な企業が選出された。
サステナグロースカンパニー賞
M&A/事業承継部門
ウェルビングループ 代表取締役社長 玉置義議

◾️緩やかな拡大・融合で持続的成長
1998年に玉置義議が埼玉県で創業し、中古車売買を開始。10坪の事務所から始まったウェルビングループは、2022年2月に上場を果たした。年式の新しい中古軽自動車専売・短時間車検整備という専門性の強化により、持続的成長を遂げている。
「社名にある『ウェルビン』はウェルビーイングから着想した造語です。私は15年にNLP(Neuro Linguistic Programmingの略称で、別名『脳と心の取扱説明書』とも呼ばれる心理学)の資格を取得し、経営に生かしています。社員の満足度を下げてまで業績は追わない。良い労働環境を保ちつつ緩やかに拡大していくことをいちばん大切にしています。成長戦略で重要な位置を占めるM&Aについては、買収先企業の風土・文化を大切にしつつ、そこになじむように必要なプラットフォームを移植する、緩やかな融合を心がけています」

サステナグロースカンパニー賞
IPO部門

GENDA(ジェンダ) 代表取締役社長 申 真衣

◾️コロナ禍で英断、IPOで成長爆進
申真衣が率いるGENDAは、エンターテイメント領域でのM&Aを成長戦略とする純粋持株会社で、グループ企業を通じてゲームセンター「GiGO」などを全国に約300店舗展開。創業5年で、2023年に東証グロース市場に上場した。
「GENDAは22年1月に社員4,000人を擁するセガ エンタテインメント(セガのゲームセンター事業を担う会社)の株式を取得しました。その後、海外も含めて積極的にM&Aを実施しています。日本のゲームセンター市場はコロナ禍で一時後退しましたが、アニメのキャラクターグッズなどを獲得するクレーンゲームは、業界市場過去最高の売り上げです。GENDAの強みはM&Aやファイナンス、テクノロジー、エンターテインメント経営のプロフェッショナル人材が揃っていることです。IPOで得た資金は主に『施設の新設』と『ゲーム機の購入』に充てて、さらなる事業シェア拡大に努めています」

サステナグロースカンパニー賞
グローバル部門
オイシーズ 代表取締役社長 工藤 智

◾️「おいしい」の価値で世界を魅了
つけ麺の「つじ田」、天ぷら・天丼の「金子半之助」、中華そばの「田中そば店」。これらのブランドを抱えるオイシーズは「『おいしい』で、世界中を幸せに。」をミッションに海外事業も拡大中だ。代表取締役社長の工藤智に戦略を聞いた。
「私たちの事業コンセプトのひとつが『家業の事業化』です。業態をシンプルに研ぎ澄ませながら、海外も含めた多店舗化や中食など事業の多角化を実現しています。一手間の大切さを高めて、商品に尖とがりをもたせる。こうした考え方のもと、濃厚豚骨魚介つけ麺のパイオニア『つじ田』がロサンゼルスに出した担々麺専門店『KILLER NOODLE TSUJITA』は、ミシュランガイドにも掲載されるなど高評価を得ています。このブランドを日本に逆輸入したブランドシェアリングサービスのように、国内外の事業が交差する新規業態も生まれています」

サステナグロースカンパニー賞
公益セクター部門
奈良県立医科大学 理事長・学長 細井裕司


◾️新産業創生、認知症予防にも期待
音が耳に伝わるメカニズムは、「空気を振動させる気導」と「頭蓋骨を振動させる骨伝導」のふたつだった。2004年、その常識が変わった。奈良県立医科大学耳鼻咽喉科学教授の細井裕司が「耳の軟骨を振動させる軟骨伝導」の仕組みを新たに発見したのだ。
「軟骨伝導イヤホンには、清潔、音漏れなし、周りの音が聞こえる、音声明瞭、水中での聴取ができるなど優れた特徴があります。軟骨伝導に関する世界の特許の大部分の権利を有しているCCHサウンド社が軟骨伝導振動子を開発して、最終製品を製造するメーカーに提供し、音楽用、難聴用など新しい音響製品が現在、次々と誕生しています。窓口用軟骨伝導イヤホンは全国の250以上の団体の窓口に設置備品として導入され、難聴の克服とそれによる認知症の予防が期待されています」

DXインパクト賞
エリッツホールディングス 代表取締役社長 槇野常美

◾️店舗数も生産性もDXで異次元へ
1986年創業のエリッツホールディングスは、地元の京都を中心に滋賀、大阪、奈良で賃貸不動産仲介を主力事業に成長を遂げてきた。現在、京都・滋賀でナンバーワンの店舗数・取扱物件数を誇る。その成長の起爆剤が業界でも早期に着手してきたデジタル化の取り組みだと、創業者の槇野常美は語る。
「1999年からあらゆるシステムのデジタル移行に挑み、紙で存在していた物件台帳も2001年にはデジタル化しています。以降、店舗数の拡大が進行しました。パソコンひとつで迅速な店舗開設が可能になったからです。また、お客様からの問い合わせメールの内容をくみ取り、即座に自動返信するシステムを立ち上げたことは、店舗への来店予約や実際の来店率向上につながりました。来店前にデジタルで取得した情報をもとに来店時の接客内容と成果を向上させる独自の仕組みが強みです」


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