「サステナグロースカンパニー」として大賞に選出されたのは、外食産業で成長著しい物語コーポレーションだ。同社の持続的成長を実現する独自のビジネスモデルについて代表取締役社長の加藤央之に聞いた。
「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」など国内外17業態、720店舗を展開する(2024年7月末時点)物語コーポレーション。代表取締役社長の加藤央之に持続的成長を遂げるビジネスの神髄を聞いた。
「焼き肉やラーメンといった『大きなマーケットにおいて差別化していく』というのが、私たちの基本的な戦略です。例えば、世の中によくある『焼き肉の食べ放題』という業種・業態において、『席に座ったままタッチパネルで注文することで、ゆっくり食事が楽しめる』という価値をつくるとともに、『注文をとる手間を省くことで人件費や教育にかかるコストを抑制し、その分を食材費やサービス力の強化に投入する』というフォーマットを開発しました。
しかし、フォーマットはいずれ他店に模倣されます。だからこそ、『商品の質』『価格』『接客』といった部分で小さな差別化を積み上げて、総合的に大きな差別化要素に変えていくことが重要です。そのためには、『人のチカラによって、いかに業態のブラッシュアップを繰り返していくか。新たなアイデアを積み重ねて、いかに時代に則したフォーマットに変えていくか』を追求することが本質であり、飲食業界のチェーンビジネスにおける肝であると思います。 私たちはこの考え方を『物語コーポレーション独自のビジネスモデル』と呼んでいます」
この独自のビジネスモデルを支えているのは、「社員による自分らしい生き方」であると加藤は言う。
「まず、自分が思っていることを正々堂々と言おう。端的に言うなら、この言葉に尽きます。社員の生き方そのものが会社の成長につながることが私たちの強みですので、『自分らしく生きたい』『自分が思っていることを表現したい』という理念型人財の採用を強化するとともに、そうした人財が活躍できる文化の醸成や制度・仕組みの構築に注力しています。
ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、考え方や意見が違うのは当たり前だという文化をつくることが、思ったことを言って良いという勇気を皆に与えることにつながります。そうして一人ひとりが恐れることなく自己表現できるようになると、なりたい自分に近づいていることを実感し、『とびっきりの笑顔と心からの元気』が生まれます。そんな人たちが集い、つくりあげる会社は間違いなく世の中をイキイキさせる。それが私たちの目指すべき長期経営ビジョンであり、パーパスです」