WSWAのワインとスピリッツの動向を調査する部門、SipSource(シップソース)が発表した新しいデータによると、今年8月までの12カ月で、ワインとスピリッツのディプリーション(卸売業者から全米45万超の小売業者への実際の販売)は6%減少した。ワインは8%減、スピリッツは3.9%減だ。現在のデータに基づき、WSWAは販売が前年を下回る傾向が年内、そして2025年にかけて続くと予測した。
SipSourceによると、「在庫調整や季節限定の出荷の傾向といった要因が合わさって以前は楽観視されていたにもかかわらず、広範な消費動向は懸念材料となっている」という。
SipSourceのアナリスト、デール・ストラットンは、8月の出荷日数が1日少なかったことが販売の落ち込みに影響したが、これは店内、店外の両方で見られる全体的な問題を完全に説明するものではないと指摘する。
SipSourceのレポートは、アルコール市場が伸び悩む中で、かつて成長の主な原動力だった高価な商品を求める動きが抑制されている状況を浮き彫りにしている。バーやレストランで提供されるスピリッツでは100ドル(約1万4800円)以上の価格帯の消費が12.5%減と最大の減少となり、50〜99.99ドルの中価格帯は3.9%減と高価格帯ほど大きな減少幅ではなかった。
消費者市場の80%以上を占める店以外での消費では、100ドル以上の価格帯は8.5%減、50〜99.99ドルの価格帯は4.3%減だった。
ワインの状況はさらに悪い。8~10.99ドルと手頃な価格帯のワインは、店内外合わせて12.7%減と二桁の落ち込みとなった。「ワイン販売は厳しい」と指摘するストラットンは「消費パターンの変化や経済とインフレの圧力、商品陳列棚のスペースの縮小」などが要因だと分析した。
だがワイン全ての売上が減っているわけではない。SipSourceのアナリストのダニー・ブレイガーは、ワイン市場の前年割れを防いでいるいくつかの好調な部門を指摘した。そのうちの一つはイタリア産スパークリングワインのプロセッコだという。
プロセッコは引き続き好調で、売上は過去12カ月で2%強増えた。50ドルを超えるワインも過去6カ月で1%近く増え、50ドル以上の国産ワインに限っては3%近く増えた。これらの売上増は10〜12月の重要な時期に向けて明るい兆しであり、高価格帯の商品を愛飲する人々がまだ消費意欲があり、購入することができるという希望を与えている。