ビジネスシーンでよく耳にする「所存でございます」という表現。上司や取引先に対して自分の意思や意見を丁寧に伝える際に使われます。しかし、この表現の本来の意味や正しい使い方、また言い換え表現については、正しく理解している人は少ないかもしれません。今回は、「所存でございます」の意味や使い方、ビジネスシーンでの適切な使い方や言い換え表現を例文とともに詳しく解説します。
「所存でございます」の意味
「所存でございます」とは、「心に思うところ」や「考え」を表す言葉です。具体的には、「～と思っています」や「～と考えています」という意味を持ちますが、非常に丁寧な表現となっています。「所存」が「思う」や「考える」という意味を持ち、そこに「でございます」という敬語を加えることで、より丁寧な敬意を示しています。
自分の考えを謙譲して述べる表現
「所存でございます」は、自分の考えや意志を表す謙譲表現です。そのため、目上の人に対して使うのが一般的で、特にビジネスシーンでは上司や取引先など、敬意を示すべき相手に対して使用されます。
例文： 「これからも精進して参る所存でございます。」 この表現は、自分の努力の意思を非常に丁寧に述べた形です。
「所存でございます」のビジネスシーンでの使い方
「所存でございます」は、主に自分の意思や決意を丁寧に伝える場面で使われます。特に、謝罪や感謝、決意表明といった場面で使うと効果的です。ここでは、具体的なシチュエーションごとにその使い方を紹介します。
自己紹介や挨拶の場面
新しい部署に異動した際や、初めてのビジネスの場面で挨拶をする場合、「所存でございます」を使うと非常に丁寧な印象を与えられます。
例文： 「今後は御社の事業に貢献できるよう尽力して参る所存でございます。」 初対面の相手に自分の意気込みを伝える際に有効な表現です。
謝罪の場面
謝罪の際にも「所存でございます」を使うことで、謝罪の真剣さや今後の改善の意思を丁寧に伝えることができます。
例文： 「このたびはご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。今後は再発防止に向けて努力して参る所存でございます。」 謝罪とともに、今後の方針を丁寧に述べています。
意思表示や決意表明
ビジネスの場での意思表示や、何かに対する決意を表す際にも「所存でございます」は使われます。例えば、プロジェクトに対する取り組みや目標に対しての意思を丁寧に伝えたいときに便利です。
例文： 「今後のプロジェクトにおいても全力で取り組んでいく所存でございます。」 このように、自分の意志を力強く、かつ丁寧に表現することができます。
「所存でございます」の言い換え表現
「所存でございます」は非常に丁寧な表現ですが、ビジネスシーンによってはもう少しカジュアルに言い換えたい場合もあるでしょう。ここでは、同じ意味を持ついくつかの言い換え表現を紹介します。
「存じます」
「存じます」は、「思う」や「考える」の謙譲語で、「所存でございます」よりも少し軽めの表現になりますが、依然として丁寧な印象を与えます。
例文： 「こちらの件につきまして、今後も引き続き対応して参りたく存じます。」 カジュアルながらも、丁寧に意思を伝える表現です。
「次第です」
「次第です」は、事実や理由を説明した後に使う表現で、状況を報告する際に適しています。
例文： 「お客様からのフィードバックをもとに、製品の改良を進めている次第です。」 こちらは状況説明に焦点を当てた表現です。
「して参ります」
「して参ります」は、今後の行動や努力を表す際に使われる謙譲表現です。少し柔らかい表現ですが、ビジネスシーンでも適切に使えます。
例文： 「今後もさらに改善に努めて参ります。」 行動に対する意思表示として使える表現です。
「所存でございます」を使う際の注意点
「所存でございます」を使う際にはいくつか注意点があります。正しい使い方を守ることで、より効果的に意思を伝えることができます。
二重表現に注意
「思う所存でございます」や「考える所存でございます」という表現は、二重表現になるため、正しい使い方ではありません。「所存」自体が「思う」や「考える」という意味を含んでいるため、重複させることを避けましょう。
例文： 【誤】「思う所存でございます。」 【正】「今後も努力して参る所存でございます。」
相手に対しては使わない
「所存でございます」はあくまで自分の意思を表す言葉です。相手の考えや意見に対して使う場合は、「ご意向」などの表現が適しています。
例文： 【誤】「部長のご所存はいかがですか？」 【正】「部長のご意向を伺いたく存じます。」
まとめ
「所存でございます」は、自分の意思や決意を丁寧に伝える表現として、ビジネスシーンで非常に役立ちます。謝罪や挨拶、決意表明など、使い方に応じて適切に活用すれば、相手に好印象を与えることができるでしょう。また、言い換え表現を覚えておくことで、シーンに応じた表現の使い分けも可能になります。適切な敬語表現を使いこなして、ビジネスコミュニケーションを円滑に進めましょう。
