この2社がお互いに独占的なグローバルのパートナーシップを結んだのは2021年。そして、2024年、マッカランの蒸溜所が設立200年を迎えるのにあわせて、両社のコラボレーションによって限定シングルモルト『ザ・マッカラン ホライズン』が誕生した。
この『ザ・マッカラン ホライズン』のアジアデビューのディナーイベントが24年9月初旬にソウルの東大門、ベントレータワーで開催され、今回のコラボレーションを象徴するような、両者に共通する卓越したクラフトマンシップが注ぎ込まれた限定ボトルが東京、香港などアジア各国から訪れたゲストの前でお披露目となった。
なんと価格は1本約1億ウォン(1100万円)と高額だ。だが、すでに少なくないオーダーがソウルをはじめとしたアジア各国から入っているという。
会場では、マッカランのブランドを支えるコンセプトである『6つの柱』へのリスペクトとして、今回のコラボレーションの鍵となった6つの素材のプレゼンテーションをまずは体験することに。部屋に入ると、このイベントのために特別に調香されたウッドとレザーの香りが仄かに漂う。ベントレーの車内空間を連想させるものでもあり、またマッカランの上質なスモーキーなテイストに通じるものでもあり、期待感が少しずつ高まる。
プレゼンテーションルームで最初に目にした素材はオークウッド。今回の特注ボトルのクロージャーにも使用されていて、樽にも使われているが、味とアロマの両面において最も大きな影響を与えるマテリアルである。
そして2つ目はボトルを包み込むリボンに使用されており、ベントレーのボディにおいても、最も重要な素材、アルミニウム。
3つ目は今回のボトルのカバーの裏打ちに使われており、高級車でも使用されるカーボンレザー。これは、部屋の香りにも通じる部分であるが、オーク樽でのエイジングによってマッカランが纏う香りの一要素でもある。
4つ目がボトルケースのフレームの素材にもなっている銅、こちらはマッカランの昔の蒸溜釜に使用されていた実際の銅も使われているとのことだ。
5つ目がウイスキーそのもので、6つ目がそのウイスキーをボトリングする素材であるガラス。言うまでもなく車にとっても欠かせない素材である。
2018年に新たに作られたザ・マッカランの蒸溜所は、パリのポンピドゥセンターの共同設計などで知られる世界的建築家のリチャード・ドジャースが手掛けたもので、流線型の美しいデザインが目を引く。今回の水平に置いて保管ができるようになっているザ・マッカラン ホライズンのデザインは、この蒸溜所のアウトラインがインスピレーションのひとつになっている。
また、流れるようなデザインはベントレー車の流麗なボディデザインともシンクロしていて、グランドツアラーのエレガントで力強い走りが180度のひねりを加えたユニークなディテールに昇華されている。
文・ポートレート=山本憲資