どれも貴重なヴィンテージではあるものの、シェリーオークの25年にお目にかかれる機会はなく、テーマがウイスキーのメニュー、ソースにもウイスキーが使用されたステーキとの愉楽としかいいようがないペアリングを存分に嗜ませてもらった。
デザートのあと、ザ・マッカラン ホライズンがルネ・ラリックのマッカランオリジナルグラスに注がれてゲストに提供された。このサプライズで、会場のボルテージは最高潮に達した。
ザ・マッカラン ホライズンは、マッカランのマスターウイスキーメーカーを務めるカースティン・キャンベル氏が、厳選した6つの熟成中の樽から今回のコラボレーションのために、ベントレーの持つ世界観をイメージしながら丹念にブレンドし作り上げたもの。ベントレーのオークやレザーの質感が醸す空気感を、ドライフルーツとスパイスなどの豊かで芳醇な風味で見事に表現している。その味わいとテクスチャーからは、クラフトマンシップに重きを置き、時代を超越していく2つのブランドのシンパシーが体感できる。
そして、今回のコラボレーションにおいては、「サスティナビリティ」が重要なキーワードとして掲げられている。マッカランにとってのサスティナビリティとは、環境負荷、熟練した職人技、そしてそこから産み出される妥協のない優れた品質を未来へとしっかりと受け継ぎ続けていくということである。
その部分はベントレーが最も大事にしている行動指針とも大きくシンクロしている。クラフトマンシップから生まれる卓越したクオリティこそ彼らのブランドのコアコンピタンスであり、二社のブランドと消費者やコミュニティを結びつける力となっている。
お互い共鳴しあうブランドの世界観を掘り下げていき、デザインも含めてそのエッセンスがじわじわと滲み出てくるような体験がこと細やかに設計された今回のコラボレーションボトルは、何十年もの長期熟成という切り口が希少性の軸となっていたこれまでのウイスキーの世界の文脈にひとつ新しい価値観を投じるようなプロダクトなのかもしれない。
もちろん今回使用されている原酒も貴重なものであることは間違いないのだが、積み上げられた歴史から編み上げられたモダニティが大きな魅力となっており、そこもまた常に時代の先端を行くベントレーとも通じる部分があるだろう。
残念ながら日本での発売は予定されていないが、どこかでまた味わえる機会を待ちたい。
文・ポートレート=山本憲資
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