小鵬の成長の大部分は、同社の新しいサブブランドであるMONA(モナ)が牽引しているようで、同ブランドの第一弾モデルであるMONA M03は、8月下旬の発売以来、最初の1ヶ月間の納車で1万台以上を販売した。同車の販売価格は約11万9800人民元(約250万円)で、小鵬の他のモデルよりも大幅に安価であり、テスラのモデル3やモデルYのおおよそ半額となっている。
現在、中国の経済成長は不動産市場の冷え込みとコロナ禍からの回復の遅れにより、低迷している。また、個人消費も元気がない。しかし、景気への懸念や世界のEV市場の低迷にもかかわらず、中国のEV市場は持ちこたえており、新エネルギー車の販売構成比は国内の自動車販売全体の約50%にまで上昇している。さらに、中国のEV市場ではプレミアム化の傾向も見られ、日本円にして約450万円以上のモデルが販売台数全体に占める割合が高まっている。これは、EV市場の中でも高価格帯を主戦場とする小鵬にとって有利に働く可能性がある。
さらに、小鵬の新しい低価格モデルは、ガソリン車からEVや低排出ガス車に乗り換える際に提供される中国政府の1万人民元(約20万円)の優遇措置の恩恵を受ける可能性がある。これとは別に、中国政府は最近、金利引き下げや財政支援を含む、経済安定化を目的とした景気刺激策を発表した。これは個人消費をある程度助け、EV市場をさらに牽引する可能性がある。
過去3年間における小鵬株の年間リターンはS&P500種株価指数よりもかなり不安定である。2021年のリターンは18%、2022年はマイナス80%、2023年は47%だった。
現在、小鵬の株価は収益の約1.9倍で取引されている。これは不合理なバリュエーションではないが、同業の上海蔚来汽車(ニオ)や理想汽車よりも高い。とはいえ、小鵬の財務指標はここ最近上向いている。直近の決算である2024年第2四半期の収益は前年同期比54.1%増の68億2000万人民元(約1430億円)、粗利益率は14%(前年同期はマイナス3.9%)だった。これは、よりプレミアムな多目的車であるX9の販売構成比が高まったことや、フォルクスワーゲンとの特許ライセンス契約も一因となっている。
(forbes.com原文)