【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

ヘルスケア

2024.10.09 18:00

「黒いプラスチック」製品から健康に有害な難燃剤が見つかる 研究者が警告

キッチン用品、食品用トレイ、衣類や髪用アクセサリー、電子機器の筐体などの黒いプラスチック製品には、BFRと呼ばれる有害な臭素系難燃剤が含まれているおそれがある(Shutterstock.com)

どこでも見られるような黒いプラスチック製品には、BFR(Brominated Flame Retardants)と呼ばれる有害な臭素系難燃剤が含まれている場合がある。そしてこれらのBFRは、発がん性、神経系疾患や内分泌かく乱作用との関連性、生殖および発育への悪影響が指摘されている。10月1日に科学誌『Chemosphere』に掲載された研究によると、203種類の一般向け黒いプラスチック製品に含まれる臭素を研究者たちが検査した結果、これらの製品の85%からBFRが検出されたという。

実際、このような難燃剤の総含有量は、最大で1kgあたり2万2800mgにも達したと、この研究の著者であるToxic-Free-Future(環境衛生に関する研究や提唱を行う米国の非営利団体)のメーガン・リューとエリカ・シュレーダー、およびアムステルダム自由大学生命環境研究所のシコ・H・ブランズマは述べている。最も高いレベルの難燃剤が検出された製品は、寿司の皿、へら、ビーズのネックレスだった。この研究では、すでに規制されている物質のDeca-BDE(デカブロモジフェニルエーテル)が、欧州連合の規制値である10ppmの5倍から1200倍も検出されたプラスチック製品も見つかった。

そして、最終的にこのような黒いプラスチックの多くは、口の中に入るか、あるいはそれが触れたホットドッグやフルーツケーキ、またはそれに触った指が、口に入ることになる。例えば、黒いプラスチック製のキッチン用品を使っている場合、1日に3万4700ngのBFRが体内に入るおそれがあると、研究者たちは推定している。

BFRが含まれている見込みがあるものは、黒いキッチン用品だけではない。辺りを見回せば、自分の周りの世界が真っ黒に思えるかもしれないが、テイクアウト用の容器、玩具、衣類や髪用アクセサリー、事務用品、電子機器の筐体など、黒いプラスチック製品は数え切れないほど存在している。そう、あなたがこの記事を読んでいるスマートフォンやコンピューターにも、発火や燃焼を防ぐためにこのような難燃剤が含まれた黒いプラスチックが使われているかもしれない。

米国環境保護庁は、BFRについて「その高い性能効率性と低コストから、最も多く市場に出回っている難燃剤のグループ」と説明している。商業市場では、75種類以上の異なるBFRが確認されている。
次ページ > 有害なBFRはどのような経路で体内に入るのか

翻訳=日下部博一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事