欧州

2024.10.09 09:30

ウクライナ軍のエイブラムス戦車が「究極形態」に 追加装甲・ジャマー満載

2024年、ヨルダンでの多国籍軍事演習で戦術機動を行う米陸軍のM1A1エイブラムス戦車(Shutterstock.com)

2024年、ヨルダンでの多国籍軍事演習で戦術機動を行う米陸軍のM1A1エイブラムス戦車(Shutterstock.com)

ロシアがウクライナで拡大して2年7カ月あまりたつ戦争で、とりわけ血なまぐさい戦闘の数々を1年3カ月にわたり戦い続けたウクライナ陸軍の精鋭部隊、第47独立機械化旅団は、9月上旬にようやくローテーションで東部の前線を離れ、与えられて当然だった休息やリセットの期間に入った。

第47機械化旅団はその際、米国から31両が供与され、同旅団唯一の戦車大隊に配備されているM1エイブラムス戦車の生き残りも後方に引き連れていった。そして、これらの戦車に死活的に必要だった追加装備を施した。

第47機械化旅団が7日ごろにソーシャルメディアに投稿した動画には、残存するエイブラムスの一部が訓練を行う様子が映っている。重量60t強、乗員4人のそれらのM1は、車体側面を米国製の爆発反応装甲、砲塔をウクライナ製の爆発反応装甲で覆い、ドローン(無人機)対策の現地製とみられるケージ装甲とジャマー(電波妨害装置)も備えていた。
ウクライナに供与されているエイブラムスは2000年代製のM1A1状況認識(SA)型で、これはエイブラムスのモデルのなかで防護力が最も高いものではない(ちなみにそれは米陸軍に配備されているM1A2の最新仕様版だ)。しかし、ウクライナ軍の現在のエイブラムスは、追加装備が最も多く施されたエイブラムスになっていると言ってよいかもしれない。

これらの追加装備は、ウクライナの戦場で戦車にとって大きな脅威になっている2つの兵器、対戦車ミサイルと自爆ドローンに対処するためのものだ。爆発反応装甲はミサイルを被弾すると外側に爆発して弾頭をそらし、ケージ装甲とジャマーは自爆ドローンの直撃を防いだりその飛行を妨げたりする。

第47機械化旅団はこれらの追加装備によって、残りのエイブラムスをできるだけ長く使い続けられように最善を尽くしている。米国は第47機械化旅団が運用するもうひとつの米国製車両であるM2ブラッドレー歩兵戦闘車に関しては、親身にも国内の余剰分を数百両ウクライナに送り、損耗のかさむ同旅団の攻撃大隊が十分な数の現代的車両を維持できるようにしてきた。
次ページ > 米国以外の国からエイブラムスを補充できる可能性も

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事