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暗号資産

2024.10.18 13:30

グレーマーケットで急拡大、暗号資産のオンラインカジノ

元プロサッカー選手のセルヒオ・アグエロを広告塔に起用するなど、Stake.comはスポーツコミュニティを通じて認知度の拡大を図っている。(Alexander Tamargo / Stake.com / Getty Images)

オンラインゲームで知り合ったふたりが始めた、暗号資産オンラインカジノ。パンデミックの時代に急成長を遂げ、今度は大きな転換点を迎えている。


エド・クレイブンとビジャン・テへラーニは10代のころ、オンラインゲーム上で知り合った。ふたりはルーンスケープというゲームで、プレイヤー同士がデジタルゴールド(ビットコイン)をバトルに賭ける「ステーキング」を開発し、利益を生んだ。ただし、それが原因でプラットフォームから追放されたといわれている。

「追放されたわけではないけど。ゲームのクリエイターから評価されなかったのは確かですね」

オーストラリア人のクレイブンはそう言って、ちゃめっ気たっぷりに笑う。

それから10年以上がたち、28歳のクレイブンと30歳のテへラーニは現在、世界最大のオフショア暗号カジノであるステーク(Stake.com)を経営している。米国、英国、欧州の多くの国では暗号資産のギャンブルは利用できないにもかかわらず、ステークは昨年26億ドルの収益を上げた。マーケティングに対する勘と法的なグレーゾーンでの活動をいとわない意欲によって、ふたりは世界で最も若い億万長者に自力でなり、それぞれ推定13億ドルの資産を保有するまでになった。

彼らは、ビットコインが100ドル前後で取引されていた2013年に暗号資産を扱い始めた。数人の友人と仮想のサイコロを振って暗号資産を賭ける初歩的なゲーム、プライムダイスを開発し、10代のクリエイターがフルタイムでこの仕事に専念するのに十分な利益を生み出した。16年の春にはオーストラリア、メルボルンにオフィスを構え、18人の従業員とともにイージーゴー(Easygo)を設立した。イージーゴーは翌年、ステークを立ち上げ、最終的にはスロット、テーブルゲーム、スポーツブックも加えた。賭け金はすべて暗号資産とした。

タイミングは絶妙だった。17年後半までにビットコインの価値は1万ドルを超え(現在は6万ドル超)、ビットコインが未来の通貨になると信じる人々は増え続けていた。

当時は、暗号資産に関する法律や規制は実質的にほとんど存在せず、カジノ事業のライセンスもカリブ海のオランダ領キュラソーのようなタックス・ヘイブンで取得が可能で、税金も最小限にできた。当局による監視が不十分なおかげで、ステークはコストを低く抑え、顧客により良い賭け率を提供することができた。プレイヤーが当局から実名を知られることはなく、取引手数料を支払う必要もなかった。

オンラインゲームレビューサイトのカジノマイスターは、キュラソーを「とんでもない運営者」と呼ぶ。消費者保護はもちろん、プレイヤーの認証や詐欺に対する取り締まりもしないからだ。キュラソーの財務大臣は1月、自国が以前から、不正資金洗浄の国として知られていたことを認めた。
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文=マット・クレイグ 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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