ヒョンデの電気自動車(EV)は、ジョージア州サバンナ近郊に新たに開設される工場で製造され、アルファベット傘下のWaymoが運営するデトロイトとフェニックスの施設で次世代の自動運転技術が搭載される予定だ。Waymoおよびヒョンデの両社は、供給契約に関する財務的な詳細や、提供される車両の台数については明らかにしていない。
Waymoによるロボタクシーサービスのコスト削減は、利益を生み出す上で重要な要素だ。現在、Waymoの米国における車両として少なくとも1000台の電動SUV、JAGUAR I‑PACEが稼働しているが、このモデルの生産は終了している。1台のI-PACEの価格はWaymoの技術を搭載する前で約7万5000ドル(約1115万円)である。一方、IONIQ 5の基本価格は4万2000ドル(約625万円)だ。これらの新しい車両に搭載される第6世代のWaymoのハードウェアは「コストを大幅に削減しつつ、さらに高い解像度、航続距離、計算能力を提供する」と同社は最近述べている。
ヒョンデとのプロジェクトは、Waymoが15年間の研究開発を経てサービスエリアを急速に拡大する中で行われている。同社は現在、フェニックス、サンフランシスコ、ロサンゼルスのWaymo One利用者に対して毎週10万回以上の有料乗車を提供している。まもなくオースティンでも完全自動運転の車両での有料乗車を提供する予定であり、2025年にはアトランタへのサービス拡大も計画している。
新しい供給契約は、Waymoが中国の自動車メーカー「吉利汽車(ジーリー・オートモービル)」が設立したブランド「Zeekr」から電動バンを調達できるかどうかが不透明な状況において、非常に有益だ。Waymoは米国内でZeekrのモデルをテストしているが、大量に購入する場合、先月施行されたバイデン政権による中国製自動車への100%の関税のために非常に高価なものになるだろう。
「Zeekrプラットフォームに関する計画に変更はありませんが、私たちは常に自分たちを『一般化可能な運転技術を構築している』と考えています」とWaymoの共同CEOであり、最初の設計者の一人であるドミトリ・ドルゴフはいう。「私たちのビジョンと戦略、そしてアプローチは、異なるプラットフォームや異なる形態にわたって展開することです」
この供給契約は、ヒョンデにも有益だ。同社は米国の自動運転技術会社Motional(モーショナル)に10億ドル(約1487億1000万円)以上を投資し、IONIQ 5を使用したMotionalベースのロボタクシーサービスの立ち上げを計画していたが、この計画は今年中止され、Motionalの創業者でCEOのカール・イアグネマは先月同社を去った。
Waymoは来年からIONIQ 5のテストを開始する予定だ。ヒョンデとWaymoの提携の可能性については、先月、韓国の「Electronic Times」が最初に報じていた。
(forbes.com 原文)