今や失敗に終わりつつあるEV促進の取り組みは5年以上前に始まった。米マサチューセッツ工科大学(MIT)が出版する科学技術誌『MITテクノロジーレビュー』によると、多額の補助金に減税、調達契約、そのほか生産を増やして市場で中国を優位に立たせるための間接的なインセンティブなどで、政府は2300億ドル(約34兆円)相当を費やしたという。その結果、最終的に1310万台の市場が形成され、EV保有台数は世界全体の60%に達した。政府はまた、中国製EVの国外での販売も推進した。この取り組みは、米政府が中国と中国製品を敵視し始める前から米国ではほとんど進まなかった。だが欧州ではかなりの成功を収めた。
現在、世界的にEV販売は減少傾向にあるようだ。米国はEVとEV部品、そして中国製のバッテリーやパーツなど多くの中国製品に関税を課している。もちろん、中国製EVは北米にはほとんど輸入されていなかったため、米政府の措置で特段の変化はなかった。だが関税と中国を敵視する姿勢から、中国のEVメーカーは米国で利益を上げられるようになる見込みがないことをはっきり悟った。
米国での中国製EV販売にかかる期待をさらに削ぐ要素もある。おそらくテスラを除く米国の車メーカーが、EVに関しては厳しい現状に直面している。つまり、米政府が敵対的でなかったとしても、中国メーカーの米国でのEV販売は困難にぶつかっていたのだ。