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2024.10.10 16:00

日本発の戦略ファーム、グロービングの流儀とAI観。「成長エンジンにならないコンサルはいらない」

コンサルの本来あるべき姿を取り戻すために、2021年に狼煙を上げた戦略コンサルティングファーム「グロービング」。その思想と戦略、必須テクノロジーとなるAIを語り尽くす。

かつて“ジャパン・アズ・ナンバーワン”の原動力となった日本企業。しかし、バブル崩壊から続く「失われた30年」によって、世界でのプレゼンスを失っている。

一方で、本来企業の成長を助ける存在であるはずのコンサルティング産業は、右肩上がりに成長し続けている。こうした矛盾を解消すべく、業界の常識を打ち破り、クライアント企業の成長にコミットしつつ自身も急成長を遂げているのが、グロービングだ。

記事は2部構成でお届けする。前半は、代表パートナーの輪島総介が語る。企業の成長にインパクトを与えているグロービング独自のコンサル論と企業との「協業」、AIを駆使した「事業のトランスフォーメーション」がテーマだ。

後半は、AIがテーマのクロストーク。グロービングCSOの福田浩基と、ジョイントベンチャーを共に立ち上げたLaboro.AIの椎橋徹夫CEOを迎え、日本の再成長に欠かせないAIのこれからについて議論を交わす。


Part 1. 思想と戦略

成長のための「やらないこと」と「やっていくこと」

日本企業が世界でのプレゼンスを失っていくなか、コンサルティング産業は右肩上がりに成長し続けていました。この矛盾に疑問を持ちましたが、多くのコンサルタントは事業成長に必要なノウハウと強い意志を持っていることから、問題はコンサルティングのサービスの仕方にあることがわかり、2021年にグロービングを立ち上げたのです。

こうした背景から、起業して最初に行ったのが既存のコンサルティングファームの悪しき習慣を「やらない」と決めたことでした。私たちは、それを「6つのDon’ts」と呼んで戒めにしています。

例えば、既存のコンサルティングファームでは事業会社で働いていた人でも、入社した途端にコンサルタントを名乗ります。これは「やらない」。ブランドをまとっただけですし、何よりまだプロフェッショナルとは言えないですからね。

もうひとつ例をあげると、「人工(にんく)ビジネス」をやりません。コンサルティングのサービスはタイム&マテリアル契約といって、人が1人1カ月間、お客さんのために作業をすると、人月単価で数百万などと請求する仕組みです。しかも、その成果や、資料の価値についてのコミットはありません。ある意味、無責任な契約です。

ですから、頭数を大量に投入でき、契約も長期になるシステムの導入(SI)やアウトソーシング(BPO)はドル箱の案件になる。クライアントの成長であるとか、事業改革での成果といいながら、実態は自社のビジネスの拡大になっている場合が多くあるのですね。そういう悪しき習慣をやらないと決め、明文化しました。

「やらないこと」を決めると同時に「やること」も明確にしました。その大きな柱が、ジョイント・イニシアティブ(JI)と呼んでいる、クライアント企業に実際に入り込み、一緒に汗をかいて、成果を出していくサービスです。

コンサルティングは、ともすれば現場に入ることもなく、外から「べき論」を振りかざすだけになってしまいがちです。

しかし、人は理屈だけでは動かないために、正しい策を提案したとしても上手くいくとは限りません。こうした机上だけで済ますことを変えようとはじめたのがジョイント・イニシアティブで、最先端の知見やノウハウを持ったグロービングのコンサルタントが、相手企業の内側に入り込んで行動しています。これを当社内では「内なる外」という言葉を使って大事にしています。

既に多くの事例が生まれていまして、例えば、クライアントと一緒に新規事業の戦略を立てる案件があり、それを担当したコンサルタントが社長さんに気に入られ、事業の遂行もお願いされて、3年限定ですがグロービングの名刺を持ったまま、その会社の事業部長を務めています。いま2年弱が経ちましたが、事業の成長で事業本部にまで拡大して、先日会った時は本部長の名刺になっていました(笑)。ジョイント・イニシアティブの真髄と言えるケースです。

現在は案件の40%ほどが実際にリーダーを任せていただいていますが、いずれ100%にしたい。そのためにも必ず、クライアントの経営層や事業責任者であるCxOと一緒に意思決定を行うようにしています。それが、お客さんの成長や変革にインパクトをもたらす上で必要不可欠なことだからです。

経営者の伴走。山登りで例えるならば、ヒマラヤへアタックする登山隊の安全をサポートする“シェルパ”のような存在でありたいと考えているからです。


グロービングの代表取締役、代表パートナー輪島総介

AIの活用で人はもっと活躍できる

「やること」のもうひとつが、知恵を効率的にクライアントに伝えて、経営基盤を強化する経営のトランスフォーメーションです。そのために、AIやデータは欠かせません。

人口が減少し、労働力不足が叫ばれている日本社会でAIの活用は喫緊の課題です。もっと社会、経済に組み込んでいく必要がある。企業の基盤強化、ひいては日本経済の再成長のカギとなるイシューといえます。

例えば、調達コストの削減や最適な価格を導くロジックは、集める情報、分析のやり方、意思決定などが20年以上前から変わっていません。これを今も、手を変え、品を変えて専門家と称する人たちが高額のビジネスにしている。

でも、こういったことこそデジタルに任せられるのです。当社ではクラウドプロダクト事業として、デジタルのソフトウエアにしています。他にも、コスト削減や売上を上げるための各種分析、サプライチェーンの在庫など、人がやらなくてもデジタルのサービスで代替できるものを提供していき、手軽で安価な方法で経営の意思決定に役立ててもらっています。

AIについては、当社内でも積極的に活用しています。事業を成長させる情報や知恵を効率よくクライアントに伝えるためには、原材料である情報や事実をかき集めなければなりません。こうした作業が実に大変で、従来のコンサルティングファームでは若手や経験の浅いジュニアコンサルタントがひたすら行っていました。

これを我々はAIを活用して自動でできるようにすることで、ジュニアの丁稚奉公的な時間を半減させ、その分、経営の現場で経営者の息遣いや考え方を学び、人の成長につなげようとしています。

優秀な人材ほど丁稚奉公期間を嫌って転職することが多かったので、人材の引き留め効果にもつながっていますし、AIの活用による生産性の向上で高収益体制となっていることから、社員への高い報酬にもつながっています。

コンサルを日本の輸出産業に

こうしたジョイント・イニシアティブやAIやデータの積極的な活用が功を奏し、おかげさまで創業からまだ3年半ですが、毎年60%から70%ほどの成長を実現しています。スタート時に4名だったメンバーはグループ全体で200名を超えました。優秀な人材獲得にも結び付いています。

また、先ほどのAIの活用もそうですが、ジョイント・イニシアティブによって経営に深く関わったコンサルタントは経営人材になることもできます。メタを創業したマーク・ザッカーバーグが若くして起業したように、能力と意志、そして行動力があれば若くても十分経営者として活躍できる。我々の仕組みが飛躍の舞台となり、いずれ人材輩出企業になっていけるのではないかと期待しています。

事業については、既に2030年までの事業プランを立てており、その時には、日本モデルを確立したい。我々が日本経済の成長基盤「グロース・インフラストラクチャー」となっていたいと考えています。当然、日本のコンサルティング産業も世界から求められるようになるはずですから、かつての鉄や自動車のようにコンサルティングが日本の輸出産業となっているのではないでしょうか。

そのためにも次のパートでは、日本社会に不可欠なAIをどう浸透させていくか、ゲストの2人をお呼びして話を広げていきたいと思います。


Part 2. AIクロストーク

これからのCxOがAIです

輪島 日本経済を再び成長軌道に乗せていくためにAIの活用は欠かせません。しかし、そのスピードは世界と比較して遅れています。

最近、生成AIに注目が集まったものの、つまみ食いをするような感じで、社会や産業を底上げするような使われ方ではありませんでした。AIの活用については、椎橋さんと我々でよく話しているテーマで、話が高じてジョイントベンチャーでX-AI.Labo(クロスエーアイラボ)を設立したほどですが、改めてAIによる社会変革が進まない状況をどう打開するかについて、ディスカッションできればと思っております。

椎橋 輪島さんが“つまみ食い”とおっしゃいましたが、現状を表す適切な表現だと思います。国内企業の経営者は誰もがAIに取り組まなければならないと考えているものの、「とりあえず、何かやっておくか」で止まっていますからね。

輪島 日本人論の名著といえる『菊と刀』で、ルース・ベネディクトは「日本人は情報よりも社会的な評価や人間関係を重視する傾向がある」と述べました。さらに、AIやデータを含め情報を軽視する傾向もあるように思えるんですよ。こうしたことが、AIによる変革が進まない理由なんでしょうか。

福田 日本人の気質もありますが、経営の視点からAIを語れる我々のような存在が少ないのも事実としてあると思います。極端な話、目に見えるような形で見せないとAIの効果を理解してもらえないのではないでしょうか。椎橋さんは普段、どのように未来を「視える化」されているのですか。

椎橋 未来を見るにはリアクティブな受け身の姿勢ではなく、「AIを使って事業をどう変えていくか」といった、先手の将来像をクライアント自身が描くことが必要です。そのためにはイマジネーションが重要ですし、我々が言葉を尽くすというよりも自分で描かなければならないのです。これは至難の業です。だから、愚直に技術を実装して現実化させ、経営者の感覚を徐々に合わせてもらうようにしています。



Laboro.AIの代表取締役CEO椎橋徹夫。グロービングと、ジョイント・ベンチャー(JV)「X-AI.Labo(クロスエーアイラボ)」を2024年5月に設立、7月にJV化させた。

輪島 今から20年ほど前になりますが、私の先輩がERP(統合基幹システム)に関する書籍を出してヒットしたんですね。その理由が、ERPをシステムではなく、グローバリゼーションに対応した最先端の業務テンプレートと読み替えたからです。当時、経営者はグローバル化の波にどう対処していこうか悩んでいたのですが、これが答えとなって、一気にERPが広まりました。我々もAIの捉え方を読み替えさせる啓蒙が必要なのかもしれませんね。

福田 言うならば、「AIがこれからのCxOだ」ですね。ただ、最初の半年くらいは使えないCxOでしょうが、2、3年すると人間を凌駕していくはずです。そのためには育成が必要だとも伝えなきゃなりません。

輪島 今の話で大事なのが、AIに最初から100点を求める人が多いこと。AIは教育して育てなきゃならないものですからね。

福田 リスペクトをもって育てると人間以上に育ってくれます。当社も議事録の文字起こしのAIを育てていますが、最初はあちこちから文句ばかり。でも、数カ月たった今は重宝して愛情もわいていますからね。名前を付けてあげるのもいいかもしれません(笑)

椎橋 リアクティブな姿勢にもつながるのですが、AIは何をしてくれるのか、とよく言われます。何を出来るかを考えるのが経営だと思うのですが……。そのマインドも変革しなきゃならないところですよね。

輪島 先ほどのERPのように、読み替えは喫緊の課題ですね。そのヒントのひとつは間違いなく労働人口不足だと思います。経営者は当事者として危機感を持っていますから。

福田 後は、日本の経営者の頭は中期経営計画でいっぱいなので、直近の成功を積み重ねることです。加えて、中長期課題の労働人口問題の解決につながれば、ビビッと来るはずです。

椎橋 一方で、自動車業界などは無人工場であるとかAI活用に踏み込んでいます。自動車業界が積極的な理由はどこにあるのでしょう。

輪島 テスラの存在が大きいのではないでしょうか。部品点数を一気に減らすメガキャストという製造技術をはじめ、イノベーティブな動きが活発なので、その研究と対抗ですね。

福田 人の採用が難しくなったというのも大きいと思います。とくにメンテナンス系の人材不足は深刻。目の前に問題があるとAIに頼らざるを得ない。そういった産業ほど、経営イシューとつながりはじめているということでしょう。


グロービング取締役CSO、シニアパートナーの福田 浩基

「企業は人なり」は、「企業は人とテクノロジーなり」へ

輪島 自動車産業は人材不足やテスラなどの脅威論への対抗もあって変革の先例が生まれています。我々も深くかかわっているので、私たちが先陣を切り、やって見せて、世の中に見せていくことが大事ですね。その際はデータ基盤も一緒に入れたい。データが経営基盤として集まると、それを経営判断に使えますし、当社には経営判断に資する8つの領域のノウハウを実装したオクタゴンというサービスもあるので、より多くの方に伝わるのではないかと期待しています。

福田 感覚を大事にすることも日本人の強みの一つでしょうが、数字が見えると何がよかったのか、何が悪かったのか一目瞭然ですからね。これはAIも同じです。感知していない数字やデータをいかに取り入れていたかが評価項目ですからね。人間と同じですよ。

輪島 だったらAIに名前だけでなくて、役職も付けた方がいいね。まずはアシスタントから。精度があがればGMとかね(笑)

福田 この部門のAIはGMだが、この部門ではまだ下っ端とか。そうするとまわりの人間もAIとどう接すればいいかがわかってくる。

椎橋 日本の場合はAIを擬人化して、人と同じようにポジションをアサインしていくと浸透が早いかもしれません。AIトランスフォーメーションというのは、これまで企業の構成要素が人だったものを、人とテクノロジーのミックスに変わったなかで、いかに組織をつくっていくかということに尽きますね。

福田 例えば、経営企画室のヘッドは福田だが、その直下の3人はAIといった風に最適配置が求められるわけですね。

輪島 AIの擬人化。それがAIトランスフォーメーションの第一歩ですね。

椎橋 ただ、人と同じで得意、不得意があることを踏まえて、ポジションを決めていくことが大事です。例えば、AIの知識は人間を凌駕していますが、人間が文脈として認識している情報量が限定的なので、文脈を捉えることは苦手です。だから文脈が必要なところは人が担いつつ、コンテンツ領域はAIが担う組織設計ができるとうまくいくんじゃないでしょうか。

輪島 人間、AI、そしてクラウドを組織内でいかに機能的に配置できるかが問われるということですね。そのためにも、AIを単にテクノロジーとして見るのではなく、会社経営の一機能としていかに教育するか、その設計が必要になりますね。

椎橋 はじめは使えないけど学習すると賢くなっていくので、文脈の部分も時間をかけてキャッチアップさせていくのが大事だと思いますよ。

輪島 その一方で文脈が必要ない、データ最優先の分野もありますから、そこは分けて考えた方が良い。正直、まだAIは黎明期ですが、日本企業のなかでもグローバルで戦っている企業は危機意識が高く、AIを中枢で使おうとする動きもあります。そうした時期に椎橋さんと、同じ危機意識をもってジョイントベンチャーでX-AI.Laboを起ち上げ、試行錯誤を重ねながら、ソートリーダー的に世の中に訴えることができれば、日本の社会も変わっていくと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。

グロービング
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輪島総介(わじま・そうすけ)◎グロービング 代表取締役/代表パートナー。大手自動車会社出身、Accenture Strategy Managing Director, PwCコンサルティング Transformation Strategy Teamリードを経て現在に至る。2007年よりパートナーとして製造業を中心にSCM・調達改革・ERP導入などをリード。2011年より戦略本部に転籍し、大手自動車会社でCASE戦略を担当、また総合電機、素材系産業で事業、DX戦略など、数多くのプロジェクトを成功に導いてきた。

福田浩基(ふくだ・ひろき)◎グロービング 取締役CSO/シニアパートナー。東京大学法学部卒業後、Boston Consulting Groupにて18年のコンサルティング経験を経て現在に至る。University of Michigan 経営学修士(MBA)修了。Private Equity向けのDD/投資後のValue up/PMI、および事業会社向けの全社戦略/ポートフォリオ戦略/M&A戦略/投資家戦略等の策定に従事。製造業、TMT、ヘルスケア、金融、Growth Techなど含め多岐にわたる業界の案件に従事。

椎橋徹夫(しいはし・てつお)◎Laboro.AI 代表取締役CEO。米国州立テキサス大学理学部物理学/数学二重専攻卒。ボストンコンサルティンググループを経て、東京大学工学系研究科松尾豊研究室にて「産学連携の取り組み」「データサイエンス領域の教育」「企業連携の仕組みづくり」に従事。同時に東大発AIスタートアップの創業に参画。2016年にLaboro.AIを創業し、代表取締役CEOに就任。

Promoted by グロービング/ text by Hiroaki Koga / photographs by YOSHIDA KIZUKU/edited by Asahi Ezure