2023年末の市場の平均需要は日量1億200万バレルだった。この数字にはバイオ燃料も含まれている。仮に、2024年末の需要がこの水準をわずかに上回ったとしても、追加需要に関する高めの予測でさえ、非OPEC諸国の生産だけで十分に賄えることは、もはや周知の事実となっている。
米国をはじめとする非OPEC諸国が生産する石油、とりわけ軽質スイート原油は、市場シェアをますます拡大しつつある。米国に加えて、ブラジル、カナダ、ガイアナ、ノルウェーの増産により、これらの国々は存在感を増し、OPEC諸国から市場シェアを奪っている。
こうした状況により、年末にかけて供給過剰が発生する可能性は高い。またサウジアラビア、そして必然的にOPECの他国も、市場シェアの維持ないし拡大を目的として増産に動けば、弱気相場はますます決定的になるだろう。ただし、市場ファンダメンタルズはしばらく前から、明らかに供給過剰の傾向を示していた。
現在の価格水準は、非OPEC諸国の堅調な生産、とりわけ米国の原油生産に影響されている。だが、OPECにも責任はある。OPECは、石油価格を長期にわたって比較的高い水準に維持しようとして、不適切な努力と失敗を重ねてきた。こうした状況は、長く波乱に満ちたOPECの歴史のなかで、たびたび起こってきた。こうした方針によって、薄利生産が有利になり、ますます多くの原油が市場にあふれた結果、OPEC自身の首を絞めたのだ。
後手に回った市場シェア争いにより、石油価格がさらに大幅に下落すれば、2024年第4四半期から2025年第1四半期にかけては、現状あるいはさらに低い水準の石油価格が常態化し、来夏の原油需要増加まで、状況が落ち着くことはないかもしれない。
(forbes.com 原文)