そんな安住はどのように自身のキャリアと向き合ってきたのか。また結婚後の生活の変化や目標は? 元TBSアナウンサーで、2021年からはドイツに移住して画家として活躍する伊東楓が、「今だから聞けること」を聞いた。
心を鬼にしないとやれない仕事
伊東:安住さんと話すようになったのは、私が新人のとき。夜の仕事を終えてアナウンサーセンターに戻ったら、安住さんがゴミ箱の前で、壁に背中をつけてしゃがみながら、一人で書類整理をしているのを見かけて。何だかたまらなくなって、無邪気に「安住さん!」って話しかけたんです。そのときに、「私はアナウンサーに向いていないと思います」と、当時感じていた不安を吐露したんです。そしたら安住さんは「そう言っているってことは、向き合いたいと思っているということだから、向いているんだよ」と返してくれて。それが今でも心に残っています。
安住:そんなこと言ったっけな(笑)。でもそのころからなぜか仲良くなったよね。基本的にお酒の席にも付き合ってくれるし、話していて面白いし。
伊東:安住さんとは担当している仕事のジャンルが似ていたこともあって、TBS在籍中はかなり相談に乗ってもらっていました。
ところで安住さんは、なぜアナウンサーを志望したんですか。
安住:元々は教師になりたかったんだけど、何となくアナウンサーを選んでしまったから続けてきたという感じですね。
伊東:実際にやってみてどうでした?
安住:楽しい仕事だなとは思うけど、プライベートをかなり犠牲にしなければならないし、精神的にもタフじゃないと務まらないなと思う。本来僕は、田舎の朴訥とした青年だからね(北海道帯広市出身)。
伊東:それ、昔からずっと言っていますよね。多分アナウンサーは、心を鬼にしないとやれない仕事なんです。