北米

2024.10.03 11:30

イーロン・マスクが「次期トランプ政権入り」を熱望する本当の理由

「議会とFAAはロケットの打ち上げ分野の発展を加速させることに寄与したが、FAAは業務のペースに対応するのに苦労している。規制や行政手続きの効率化とトレーニング機会の拡充の可能性を探ることで、より効率的な運営が行えるはずだ」と、ブルーオリジンのシニアVPを務めるフィル・ジョイスは公聴会で証言した。

一方で、マスクは別の問題でもFAAと争っている。FAAは先日、スペースXが昨年の2度のロケット打ち上げで未承認の計画を使用したことに関連して、63万ドル(約9200万円)以上の罰金を提案した。最初の事件は、昨年5月にフロリダ州ケープカナベラルで発生し、スペースXが無許可で新しい打ち上げ管制室を追加し、手順から準備状況確認の投票を削除したことに関するものだった。

その2カ月後に同社は、ケネディ宇宙センターでの打ち上げで、未承認のロケット推進剤施設を燃料供給業者として使用したとFAAは主張している。これらの指摘に対し、マスクはXで「FAAの過剰な規制に対して訴訟を起こす」と脅し、この動きを法廷戦争(lawfare)と表現した。

マスクは議会に行動を要請

FAAがこれらの罰金を科した翌日にスペースXは、商業宇宙分野を監督する上院と下院の委員会の責任者に書簡を送付して罰金の根拠に反論した。同社は、この書簡をXで公開するにあたって、「FAAがこの分野のイノベーションのスピードの速さに着いてこれていない」ことを同社が約2年前から訴えてきたと主張した。

この書簡を受け取った上院委員会のランキングメンバー(野党側の筆頭委員)である共和党のテッド・クルーズ上院議員の報道官は、「商業委員会は今後、連邦機関が商業宇宙旅行を促進するのに適切な組織とリソースが配置されているかどうかを評価することになる」と、フォーブスに宛てた声明で述べた。同報道官はまた、クルーズ議員がこの件に限らず、「不要な官僚の干渉と遅延を最小限に抑えるための政策」を提唱していくと付け加えた。

マスクは今、この問題を政治の専門家たちの世界を超えたものにしようとしている。ここ数年、右寄りの姿勢を強めているマスクは、9月のXの投稿でカマラ・ハリス副大統領の大統領選への出馬を非難し、バイデン政権の官僚たちが、スペースXの壮大なミッションを妨害したと主張した。

「彼らの行動は、火星プログラムを破壊し、人類を滅ぼすことになる。私たちは今、運命の分かれ道に居るのかもしれない」と彼は書いていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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