気候・環境

2024.10.02 11:00

英国最後の石炭火力発電所が運転終了 産業革命期に石炭廃止を予言した実業家も

同会長は大気汚染を引き起こす石炭より、再生可能エネルギーの方が長期的な視点からは安価になることを理解していたが、これは当時ではごく少数派の意見だった。当時は石炭が大量に埋蔵していると考えられており、1882年に英国で世界初の石炭火力発電所が稼働を開始した。気候変動対策やエネルギー政策に関する情報を提供するウェブサイト「カーボンブリーフ」の副編集長を務めるシム・エバンス博士によると、それ以降、英国の石炭火力発電所で燃やされた石炭は46億トンに上り、二酸化炭素排出量は104億トンに達するという。

英国では1990年当時、石炭が電力の80%を占めており、2012年時点でも39%に上っていた。ところが昨年、英国の電源構成は、天然ガスが34.7%、風力と太陽光が32.8%、バイオマスが11.6%、原子力が13.8%で、石炭はわずか1%にまで縮小した。そして先月、同国最後の石炭火力発電所が運転を終了したことで、石炭が電力に占める割合はゼロになった。

同国の石炭火力発電の廃止は2025年に予定されていたが、2021年に英グラスゴーで開催された第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、当時のボリス・ジョンソン首相が1年前倒しすることを宣言した。

英エネルギー・気候情報機関(ECIU)でエネルギー部門を率いるジェス・ラルストンは、電源構成から石炭がなくなると停電が起こると警告する人たちもいたが、そうした悲観的な予測は間違っていたことが繰り返し証明されてきたと指摘した。これと同様、アームストロング会長が1863年に科学者を前に行った石炭の衰退を予言する演説も、長年にわたって生き残ってきた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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