今週の天体観測と天文学について知っておくべきことをまとめた。
10月2日(水)ごろまで:夜明けの彗星
週明けの数日間は、太陽の近くを無事通過した紫金山・アトラス彗星が明け方の空に尾を引く姿を見る最後のチャンスとなる。北半球からは、日が昇る1時間前に東の空を見上げると彗星が輝いているだろう。1日は細い下弦の月と並んで、2日は彗星のみが見えるはずだ。ただし、彗星の位置は地平線すれすれにあり、赤道に近い地域ほど見やすい(北寄りの地域では10月中旬まで待てば、よい条件での観測が可能になる)。また、明るさは肉眼でぎりぎり見えるかどうかといったところだ。
10月3日(木):金環日食(日本では見られない)
月の軌道が楕円を描いており、今は満月が地球に非常に接近している「スーパームーン」の時期だと知っていれば、逆に新月は地球から遠く離れ、見かけの大きさが小さくなることにも納得できるだろう。このタイミングで月が太陽の真上を横切る「中心食」が起こると、月の影が太陽をすべて覆い隠すことができず、太陽の縁の部分(全体の約7%)だけが輪の形に残って見える。これが金環日食で、「火の輪(ring of fire)」とも呼ばれる。今回の金環日食は、南太平洋の一部と南米大陸南端のパタゴニア地方のみで見られる。細く帯状に伸びた観測可能地域には、なんとチリ本土から約3700kim離れた孤島ラパ・ヌイ(イースター島)が含まれている。面積163平方kmのこの島は、ポリネシア系先住民が育んだラパ・ヌイ文化の遺産である神秘的な巨大石像、モアイ像があることで最も有名だ。
このような絶海の小さな孤島に皆既日食の帯がかかる確率は相当低く思われるが、信じられないことにイースター島では2010年7月11日に続き、14年ぶり2度目の出来事となる。
もっとも世界中のほとんどの人にとっては、今宵は単に新月であり、月明かりのない夜空が一晩中広がっているにすぎない。
10月5日(土)~6日(日):三日月と宵の明星
日が沈んだ直後の西の空で、明るさを増しつつある「宵の明星」こと金星と三日月がランデブーする。ほっそりとした三日月は、金星の左側に見える。肉眼で楽しめる天体観測の代表格といえる光景だ。美しい共演を、三日月の「地球照」がいっそう引き立てる。地球上の海や氷冠に反射した太陽光に照らされて、月の欠けて暗くなった部分がうっすらと見える現象である。
今週の天文現象:次の皆既日食はいつ
日食の中でもドラマチックな皆既日食。次に起こるのは、2026年8月12日(日本時間13日)だ。幅およそ300kmの月の影が、シベリア北部からグリーンランド東部、アイスランド西部、スペイン北部までを横切って移動する。これらの地域では、今年4月8日に北米の広範囲で観測された皆既日食と同じような光景が期待できるだろう。アイスランドにとっては、1954年以来の皆既日食となる。スペインでは2027年8月2日に南部を再び月の影が横断し、初めて2年連続で皆既日食が観測できる。
(forbes.com 原文)