上海と深センの300銘柄で構成される代表的な株価指数のCSI300指数は、30日に一時6.5%の上昇を見せ、今年の下落をほぼ全て取り戻した。この上昇は、中国当局が発表した経済や低迷中の不動産市場への複数の刺激策を受けてのものだ。
上海と深センの市場における売買高は、30日の取引開始後の30分間で、1兆元(約20兆円)に達した。これは、10月1日から始まる国慶節の7日間の連休を前に投資家が株式を急いで購入しているためだ。この勢いは香港にも及び、ハンセン指数は30日午前に2.6%上昇した。
アナリストによると、投資家は中国政府が予想を上回る経済支援を発表したことに勇気づけられている。今年のGDP成長目標の約5%の達成が、低迷する消費や長期化する不動産危機により危ぶまれる中、中国政府は先週以降に、住宅ローンの金利の引き下げや主要都市での住宅購入規制のさらなる緩和、銀行に対する貸出用の資金供給の拡大、株式市場の安定化のためのファンドの創設計画などを相次いで発表した。
さらに注目すべきは、先週開催された最高指導部会議での異例の議題変更だ。習近平国家主席が率いる中国の最高指導部である政治局は通常4月、7月、12月の集まりでのみ経済問題を議論するが、今回は例外的に9月の月例会議で経済支援の強化を約束した。指導部は初めて「不動産市場の下落を反転させ、安定させる」と誓ったと新華社通信は報じた。また、習主席は今年の経済発展目標の達成を各当局に求めた。
「市場は今、中国の政策方向の転換を期待している。今回発表された支援策は、これまで以上に力強いものとなっている」と、香港に拠点を置くエバーブライト証券インターナショナルのストラテジストのケニー・エンは述べている。
「より広範な改革」の必要性
しかし、一部のアナリストらは、この上昇が持続するためにはより広範な改革が必要だと指摘する。ムーディーズ・アナリティクスのハリー・マーフィー・クルーズは、27日のリサーチノートで、最近の刺激策は今年の成長を0.2〜0.3%押し上げる見通しだと述べた一方で、「経済の弱さは社会保障費の拡大や民間企業投資の促進、そして長期的に土地売却に頼っていた地方政府の収入源の拡大によってのみ克服できる」と指摘した。地方政府は、不動産市場が低迷する中で、土地を売却できない状況にある。さらに、中国経済の根本的なファンダメンタルズに「目立った改善は見られない」と、北京のブティック投資銀行、Chanson & Co.のマネージングディレクターを務めるシェン・メンは述べており、今回の上昇はやがて失速するかもしれないと指摘した。9月の中国の製造業とサービス業の活動は再び縮小しており、さらなる刺激策の必要性が示唆されている。
野村證券のエコノミスト、ルー・ティンらは27日のリサーチノートで、今後の数カ月で各地の地方政府が市場の信頼を高めるためにさらなる支援策を打ち出す可能性があるが、彼らは資金不足で工事が中断した住宅プロジェクトに、中央政府が直接資金を提供することを求めていると述べていた。
「特に不動産セクターの安定に向けては、中国政府が深い根本的な問題に対処するためのよく練られた政策を導入することが不可欠だ」と、野村證券のエコノミストらは指摘した。
(forbes.com 原文)