欧州

2024.09.30 18:00

ロシア軍、クルスク州に砲200門配備しながら機能せず 情報・連携不足で奇襲許す

Pavel Sapozhnikov / Shutterstock.com

8月6日、ロシア西部クルスク州の国境沿いの防御線を突破したウクライナ軍の強力な機械化部隊は、ロシア側の塹壕などの防御陣地を迂回しながら電光石火の進撃を続け、またたく間におよそ1000平方kmの土地を占領した。

ウクライナがロシアに逆侵攻を仕掛けた理由は単純ではない。ウクライナがクルスク州の一部を獲得したことで、この戦争の趨勢は決定的ではないものの変わった。また、ロシア軍はウクライナ東部や南部の戦線から精鋭部隊の一部の転用を余儀なくされた可能性がある(編集注:ウクライナ軍のシルスキー総司令官は8月末、ロシア軍はクルスク方面にほかの方面からおよそ3万人の兵力を移したと述べ、ウクライナのゼレンスキー大統領は9月中旬、ロシア軍におよそ4万人の兵力をクルスク方面に移動させることに成功したと主張したが、どこに配置されていた部隊なのかなど詳細は不明)。

クルスク州の一角はさらに、ウクライナが将来ロシアとの和平交渉に臨むことになった場合に貴重な取引カードになるかもしれない。

他方、ウクライナ軍がなぜこれほど広い土地をこれほど短期間に制圧できたのかという謎は、だんだん解けつつある。結論から言えば、クルスク州のロシア軍の防御が崩れた原因は必ずしも兵力不足ではなかった。それは情報と連携の不足だった。

クルスク州での戦闘中に、ウクライナ兵が手に入れたとされるロシア側の地図は、そうした事情を知る手がかりになる。それによると、ロシア軍の守備隊は越境攻撃を受ける前日の8月5日、一帯の国境沿いに多連装ロケット砲13門、榴弾砲・カノン砲・対戦車砲計98門、迫撃砲71門を配備していた。

地図を閲覧したウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士「クリークスフォルシャー」(Kriegsforscher、@OSINTua)は「相当な数だ」とコメントしている。「ロシア側に火力はあったということだ」
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翻訳・編集=江戸伸禎

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