いま既存の価値観や社会・システムに問いを立て、これまでの延長線上にはない新しい社会像を創出することが求められているが、「問いを立てる」とはどういうことか。未来や社会を創造する原動力となるアートに注目し、その意義や効能を学び、問いを立てるためのヒントを得る。
大手コンサルティングファームや監査法人を含むPwC Japanグループが主催した今回のトークセッションでは、アート、ビジネス界で活躍するゲストらを招集し、各々が考えを述べた。
登壇したゲストは、アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ 共同代表 ディレクターの小川秀明氏、東京大学大学院情報学環教授でアーティストの筧康明氏、博報堂研究デザインセンター 上席研究員・イノベーションプラニングディレクターの田中れな氏、「YAU」の深井厚志氏。モデレーターは、PwC Japan合同会社マーケット部ソーシャルインパクト シニアマネージャー田中和子氏が務めた。
前半は小川氏の講演、後半はゲスト全員によるトークセッションという構成で行われた。
会場となったのは、東京・有楽町の「YAU」(有楽町アートアーバニズムプログラムの略称)。実証的な街づくりを推進する場で、アーティストの活動を呼び込み、ビジネス街である大手町・丸の内・有楽町エリアの立地企業と協働し、アートとビジネスを掛け合わせながらイノベーションを起こしていく仕組みの構築に取り組んでいる。
アートは未来の変容を触発する存在である
前半は小川氏が、自身の所属する「アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ」での活動事例を用いながら、テーマについて見解を述べた。「アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ」は、オーストリア・リンツに拠点を置くアートとテクノロジーの世界的文化機関だ。
小川氏は、アートを触媒に、未来をプロトタイプするイノベーションプロジェクトや市民参加型コミュニティーの創造、次世代の文化・教育プログラムの実践など、領域横断型の国際プロジェクトを数多く手掛けている。