経済・社会

2024.10.14 13:00

AIアバターが戦禍のウクライナで行政サービス利用の案内役として活躍

Synthesiaのコーポレート・アフェアーズ・ポリシー責任者であるアレクサンドル・ヴォイカは、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以来長期化している争いを考えると、ウクライナ社会政策省には編集が必要なたびに動画を撮り直す時間はないという。また、同省には、プロの動画編集者や、高性能カメラや録音スタジオなどの高価な機材を購入するための財源もない。

だが、同省はやはり、魅力的でないテキストの羅列よりも、視聴者を惹きつける可能性のある洗練された動画を作りたかったのだ。

ヴォイカは電子メールで、「市民はこのような形式に好意的に反応し、インスタグラムやフェイスブックなどのソーシャルメディアネットワークを通じて視聴するのも簡単です」と述べている。「人間は、誰かが話すと自然と注意を払うようにできています。現代の動画共有プラットフォームを開けば、90%以上の動画に人間が登場していることに気づくはずです」

Synthesiaとウクライナ社会政策省のパートナーシップは5月に始まり、これまでに約10本の短い動画が制作された。そうした中には、夏に2万人の社会福祉専門家を訓練した動画もいくつか含まれている。同省職員のチェルクンは、この協力関係から「さらに多くの動画」が生まれることを期待している。

「私たちの目標は、市民が当然受けられるべき社会福祉を受けるプロセスを簡素化することです」と彼は述べている。

ウクライナ政府がAI生成人間を活用して大衆に働きかけるのはこれが初めてではない。5月、同国の外務省は、主に戦時中の外交官の負担を軽減するために、AI生成の広報担当者を任命した。彼女の名前はVictoria Shi(ビクトリア・シー)だ。紹介動画の中で彼女は、自分の名前(ビクトリア)は「ウクライナの勝利(ビクトリー)」という国の主要目標を象徴していると語った。また彼女の名字(Shi)は、ウクライナ語で人工知能を意味する「Штучний інтелект(shtuchniy intelekt)」という言葉の略語である。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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