そして2年近くを経て、ロシア軍はついにブフレダルの攻略に成功しつつあるのかもしれない。ロシア陸軍の第57独立親衛自動車化狙撃旅団は今週、意を決した強襲に乗り出し、ウクライナ軍の守備隊である陸軍第72独立機械化旅団の防御を突破した。現在、ロシア軍部隊は道路を挟んだブフレダルの南側の区画に入っており、疲弊した第72機械化旅団はすでに北へ撤退している可能性がある(編集注:同旅団は26日、ブフレダルからとする動画を公開し、撤退観測を否定している)。
砲撃や爆撃で廃墟と化しているブフレダルを第57自動車化狙撃旅団が数日中に占領すれば、ロシアにとってひとつの勝利になる。ただ、この勝利は文字どおりの勝利というより括弧付きの「勝利」と表現すべきだろう。ロシア軍はブフレダル郊外に到達するだけでおよそ1000点のぼる大量の装備を失ったほか、人員も数千人失った可能性があるからだ。
第72機械化旅団はこれまで、地雷や大砲、対戦車ミサイル、ドローン(無人機)によってブフレダルを頑強に防衛し、ロシア軍の旅団に再三、壊滅的損害を与えてきた。
なかでも最も損害が大きかったのは、ロシア側が2022年11月から2023年2月にかけて行った一連の攻撃だったかもしれない。当時、この正面でのロシア軍の作戦は、ロシア海軍太平洋艦隊に所属する第40独立親衛海軍歩兵旅団と第155独立親衛海軍歩兵旅団が主力を担っていた。
両海軍歩兵旅団はブフレダル郊外で突撃を繰り返しては失敗し、当時、この戦争で最悪級の損害を被った。3000人規模の第155海軍歩兵旅団は、ポーランドのシンクタンクであるワルシャワ研究所によると1日最大300人のペースで人員を失い続け、2022年2月までに「ほぼ壊滅状態」に陥った。