CEOs

2024.10.04 13:30

「生成AIは面白い」日本マイクロソフト津坂美樹の対話術

支えになったのは「察しと思いやり」「相手の立場で考える」という両親の教えだ。

「親にいじめを訴えると、『なんで◯◯ちゃんはそうしたと思う?』と聞き返されるんです。もちろん自分をおし殺して相手に合わせろという意味じゃない。周りをよく見て学びなさいということでした」

言葉にならない相手の真意までくみ取ったうえで、自分が言うべきことを言う。コミュニケーションを極めることは、津坂にとって学校で生きるための術だったのだ。

こんなエピソードもある。一時帰国中、新幹線車内で妹と英語でけんかしていたら、母親に「ここは日本。日本語でけんかしなさい」と叱られた。けんかを恐れて言いたいことを我慢しなくてもいい。しかし、場に合わせた言葉で伝えなさいと諭された。

幼いころからコミュニケーションと向かい合ってきた津坂にとって、社員と密にコミュニケーションを取ることはごく自然なことだった。

今後は、津坂イズムをいかに組織に広げていくかが課題になる。

「マイクロソフトはお客様やパートナーの皆様からフィードバックをがんがんいただきます。ただ座って待っているだけでなく、自分たちからアクティブに聞き出すことが大切。社員には、プロダクトの強さに安心するのではなく、『次に何ができるか』という発想で外の空気をどんどん吸いに行ってほしいと思います」


つさか・みき◎東京都生まれ。1984年ハーバード大学卒業後、ボストン コンサルティング グループへ入社。88年にMBA取得。95年にパートナーに就任し2013年経営会議メンバーおよびCMOに就任。23年日本マイクロソフトへ入社し現職。

文=村上 敬 写真=苅部太郎

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年10月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

連載

10年後のリーダーたちへ

ForbesBrandVoice

人気記事