年末商戦のオンライン売上の前年からの増加幅は、前年比4.9%増だった昨年を大幅に上回る見通しだ。
先に発表された他の予測同様、アドビの今年の年末商戦についての見通しも前向きなものとなっている。消費者は依然として価格に敏感であるものの、消費支出は昨年を上回り、Eコマースが最も伸びると予測している。
アドビのグロース・マーケティング&インサイト担当バイス・プレジデントのパトリック・ブラウンは「データからはまず、かなり力強い年末商戦となることが見て取れる」と語った。
例年との違いの一つは、年末商戦の割引で消費者がより高額のアイテムの購入に金を使う可能性が高いということだ。
「例年であれば消費者は財布の紐を締めて割引を待っていたが、今年はもう少し多く金を使おうとしている。なので、大幅な割引に対する興味深い反応と、そうした割引が引き出す大きな消費額を目の当たりにするはずだ」とブラウンは話す。
25日に発表されたこの見通しは、米国の小売サイトへの1兆回以上のアクセスから得られたアドビ・アナリティクスのデータに基づいている。
このデータと消費者調査から、以下のような年末商戦の動向予測と特徴が得られている。
・年末商戦のオンライン購入の半分以上はモバイル端末から行われる
・後払い決済(BNPL)は記録的な水準に達する
・年末商戦期間中の割引幅は最大30%で、11月22日〜12月2日が最も大きくなる
・オンライン購入の半分以上は電化製品、アパレル、家具・寝具
・売上を押し上げる最大の要因は今年も変わらず有料検索だが、アフィリエイトや、インフルエンサーを含むパートナーの貢献が最も伸びると予想されている。インフルエンサーの購入への誘導はSNS全体の10倍
・Z世代の消費者の3分の1以上(37%)は、インフルエンサーのレコメンデーションに基づいて購入したことがあると回答
消費者が割引に魅力を感じて購買意欲を高めていることが示されているため、小売業者は「購買意欲をある程度取り込めるよう、十分な割引の実施」を促されているとブラウンは言う。
アドビが予想している割引の拡大は「今年、20億〜30億ドル(約2900億~4390億円)程度の支出増につながるだろう」とも指摘した。
アドビは消費者にとって重要なイベントに絡む購買を注視しているという。ブラウンによると、消費者は割引が始まるまで大きな買い物を控えており、「その後、購入に踏み切る」のだという。
アドビが過去のレポートで指摘した、消費者がより低価格の商品に替える傾向は今年の年末商戦では見られない。逆に、消費者は割引に刺激されて高価格の商品に手を伸ばすと予想されている。
アマゾンがプライム会員限定で10月に開催するセールイベント、プライムデーで年末商戦が幕を開ける。商戦は12月まで続き、ピークは感謝祭(今年は11月28日)の前週からサイバーウィークにかけてだ。