訪問型共済型病児保育事業団体としてスタートし、障害児家庭支援など子育て領域での総合的な活動を行うフローレンスは、今年8月に「こども冒険バンク」という体験格差解消を目指すプラットフォームをリリースした。そこには、スシロー、小田急、サントリー、日本航空、明治など数多くの「冒険パートナー」企業が参加し、約1700人分の体験を提供している。参加できる家庭には世帯年収などの条件があるが、認定され冒険会員になると、月初めに冒険チケットが与えられ、対象となる体験に無料で参加できる。
たとえば、日本航空は、格納庫で飛行機を間近に見たり、機内食を味わったり、空の仕事を学ぶといった体験を提供している。アウトドアパークを運営するパシフィックネットワークは、森の中での木登りやジップスライドなどの体験を提供する。
文部科学省は、「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」の報告書で、「小学生の頃に行った体験活動などの経験は、長期間経過しても、その後の成長に良い影響を与えている」ことがわかったと記している。だが、こども家庭庁は「経済的に厳しい家庭のこどもの約3人に1人が1年を通じて学校外の体験活動を何もしていない状況にあったり、こどもと一緒に体験活動をすることに苦手意識をもつ保護者のこどもほど、放課後や休日の運動やスポーツの経験、ボランティア活動や地域行事への参加、文化芸術に触れる体験が少ない傾向にある」と指摘している。
そうした現状に対処しようと、フローレンスは2023年の夏に「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施した。これには予定の約3倍の応募があり、その必要性を感じた同団体は子どもの体験格差の解消を目指すプラットフォームの提供を決めた。そうして、ソフトウェア開発企業スタメディアと共同で「こども冒険バンク」を開発し、今年8月にリリース。9月19日の時点で、すでに当初の予定を上回る808世帯が登録している。また、9月からは通信販売のフェリシモが加わり、関西地区での冒険の提供を開始している。
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