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2024.09.28 08:00

エヌビディアより有望な投資先? 米電力大手のコンステレーション・エナジーを分析

スリーマイル島原子力発電所(George Sheldon / Shutterstock.com)

エヌビディアの株価は2024年に156%上昇した。一方、米エネルギー大手コンステレーション・エナジーの株価は129%上昇した。同社は1979年3月に事故を起こしたペンシルベニア州のスリーマイル島原発を所有している。

最近、マイクロソフトとコンステレーションは10年間の契約を締結し、コンステレーションは約160億ドル(約2兆3100億円)を受け取る予定だと金融ニュースサイトのSeeking Alphaが報じている。このことから、コンステレーションはエヌビディアよりも有望な投資先となる可能性がある。以下に3つの根拠を示そう。

・データセンターの運営に必要なエネルギー需要が急増している一方、エヌビディアの収益成長は鈍化している
・コンステレーションの現在の低成長は、マイクロソフトに続く他のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)によって加速する見込みがある
・アナリストたちはコンステレーションの株価にさらに上昇余地があると予測している

ただし、TipRanksによると、アナリストの価格目標はすでにコンステレーションの上昇余地を十分に織り込んでいる可能性がある点は注意が必要だ。

AIエネルギー需要が急増する中でエヌビディアの急成長は鈍化

データセンターを運営するためのエネルギー需要は、エヌビディアの収益成長が鈍化する中で上昇すると予測されている。金融ニュースサイトのTheStreetによると、米国の電力需要は2014年から2024年の間でほぼ変化がなかった。しかし、2024年5月のゴールドマン・サックスの報告書によると、データセンター全体の電力需要は「2030年までに160%急増する」と予測されている。

確かにAI関連ハードウェアやソフトウェアの需要も急速に拡大すると予想されている。具体的には、コンサル大手のベイン・アンド・カンパニーはAI市場の総需要が毎年40%から55%増加し、2027年までに7800億ドル(約112兆7300億円)から9900億ドル(約143兆1200億円)に達すると予測していると、金融専門紙のBarron’sが伝えている。

エヌビディアは業界全体よりも速い成長を見込んでいるが、それでもその成長率は鈍化しつつある。金融専門紙Investor’s Business Dailyによれば、エヌビディアの収益成長率は2023年第2四半期から2024年第1四半期にかけて206%から265%だった。

エヌビディアは依然として急成長しているが、成長ペースは鈍化している。たとえば、私はエヌビディアが2024年第2四半期には122%の増収を記録し、同社は第3四半期には80%の成長が予測されると、フォーブスで9月に公開した記事で指摘した。
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翻訳=酒匂寛

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