災害で崩れた道路などの盛り土は、土と砕石で再び作り直すのが原則とされている。しかし、地盤が弱いところや、水害で流された水を多く含む斜面に盛り土をしても、構造物や土の自重でまた流れ落ちる恐れがあるため、大変な難工事となる。そこで今回は特別に、「現場発泡ウレタン超軽量盛土工法」が使われることになった。
これは、大正時代から続く高分子化学製品の老舗イノアックコーポレーションのグループ会社、イノアック住環境が1990年に世界で初めて施工に成功した技術だ。そこに使われる硬質ウレタン樹脂は、現場で原液を混合して吹き付けると、わずか1分間で30倍に膨らんで硬化し、非常に軽くて頑丈な地盤を作る。施工が比較的簡単で、工期も大幅に短縮され、低コストという特徴がある。これまで、山岳道路の拡幅工事や、道路の亀裂や崩れた法面の補修などで実績を積んできたが、大規模な災害復旧に使われるのは初めてとのこと。
発泡ウレタンはフロンで膨らませるものが多いが、イノアックの工法ではフロンを使わない。また、廃棄物の削減やウレタン製品のリサイクルなど、同社は環境対策に力を入れている。
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